ロッテの窮状をうかがわせるエピソードは他にもあると語るのは、地元企業関係者である。
「5年ほど前だったと思います。二軍のロッテ浦和球場を売却して成田に移転する計画が持ち上がりました。一等地にあるので高く売れるはずでした。成田市内に3万坪の候補地を見つけ、成田市長も移転を明言したにもかかわらず、実現しなかった。ロッテが一切、金を出さないと主張したからです。出さないというより、出せなかったのかもしれません」
実はロッテを巡っては、身売りを想起させる「不穏な動き」を指摘する声もあった。今年1月1日付で球団社長に山室晋也氏が就任した件である。スポーツライターがいぶかる。
「山室球団社長はみずほ銀行出身。過去、身売りがあった球団にはなぜか、みずほ銀行が関わっていました。リクシルが横浜買収に乗り出した時や、DeNAが横浜を買収した時には、みずほ銀行の人物が仲介に立ちました。オリックスが阪急を買う際にも、みずほ銀行(当時は第一勧業銀行)が暗躍した。だから球団社長が交代した時、真っ先に身売りのことが頭をよぎりました」
チーム首脳陣など、現場スタッフの顔ぶれにも何か妙に感じたというのは、スポーツ紙デスクである。
「一軍首脳陣は伊東監督を含む9人のうち、ロッテ出身者、生え抜きは堀幸一打撃コーチと佐藤兼伊知内野守備走塁コーチの2人だけ。つまり、ロッテとは縁のない人ばかり。いざという時に切りやすいよう、外様を中心に起用した、と見る向きもあります。伊東監督も就任時、『コーチ人事は球団に任せている』と話すなど、みずからコーチを誰も連れて来ていないのも不可解です。川崎憲次郎投手コーチなどは『伊東監督とはロッテに来て初めて話をした』と言っていました」
つまりは伊東監督が就任する時点で、将来的な身売り含みだったのか──。
「そもそも伊東監督が起用されたのは、オーナー代行と伊東監督が同じ街に住んでいて、バッタリ会った時にオーナー代行が『ウチに来る?』と言って決まったんだとか。西村監督の電撃解任に加え、突然の外様の起用に、フロントは大混乱だった」(遊軍記者)
こうした経緯に加え、リクシル幹部の観戦、球団内部から漏れ伝わる動き‥‥ロッテベンチでは今、首脳陣が「何か変な雰囲気」を察知してビクビクし、悲壮感が漂っているという。単にチームがBクラスに沈んでいるから、というわけではないようなのだ。