日本人の食への欲求は令和の時代も留まることを知らず、やれ生食パンだ、タピオカだといったトレンドから「孤独のグルメ」(テレビ東京系)に登場するような食堂のメニューまで、グルメの話題は何かと事欠かない。
だが、この日本には、どんなに味にうるさい評論家や金持ちグルマンでも「あること」をしなければ食べられないメシが存在する。そう、それは卓を囲み、牌を握ることで初めて味わうことができる「雀荘メシ」だ。
もっとも、旧来の雀荘は勝負に集中するのが第一の場であり、飲食メニューはドリンクが中心。ガッツリ食べたい時は近隣の飲食店から出前を取るのが慣習だった。
だが、中には飲食にこだわりを持つ店も現れ、麻雀愛好家の間で「あのマスターが作るナポリタンはおいしい」「あの店のサンドイッチはバイトの娘の手作りだ」などといった評判が立つようになると、飲食メニューは雀荘を経営するうえでも無視できない要素になっていく。ちなみに飲食を基準に麻雀店を区分すると、以下のようになる。
1)店内に調理設備はなく、常備する食べ物は250円するカップ麺や菓子程度。フードは持込みや出前で対応するストイックな麻雀店。
2)トースターやIHコンロといった簡易な調理器具があり、ピザトースト、サンドイッチ、カレーなどの軽食を用意する気の利いた麻雀店。
3)店内に調理設備があり、親子丼、焼肉丼、チャーハン、パスタ、焼きそばなど、本格的な手づくり料理を出すグルメな麻雀店。
昨今は3のように飲食メニューで特色を出す店も多い。以前、テレビ番組「石橋貴明のたいむとんねる」では「理想のチャーハン」をテーマに各出演者が絶品チャーハンを紹介していたが、その回で石橋貴明が推したのが恵比寿の雀荘「麻雀野郎」のカニチャーハン。中華料理店よりおいしいと言われる雀荘メシだが、セット麻雀の店なので、それこそ4人で卓を予約しなければ食べられない幻のグルメといえよう。
また、つくば市の雀荘「超麻雀mj cafe」は、店内にバーカウンターを設置。シェフ監修の豊富なフードメニューが人気で、フリードリンクは60種以上、コーヒーは本格ドリップ。もはや雀荘の域を超えているが、プロ雀士も多数来店。女性客や学生客で賑わっている。
「健康麻将ガラパゴス」では、平日17時以降「居酒屋麻雀」を実施。渋谷店は4人セット利用で7時間打ち放題・飲み放題・食べ放題3800円(1名)という驚異のコストパフォーマンスだが、名物の海鮮丼や親子丼をはじめとする自家製の本格グルメがそろう。居酒屋で飲むより安くておいしいと評判だ。
他にもオーナーの趣味でギネスビールを出す雀荘や、カフェ併設の雀荘もオープンしている。卓を囲みながら食べるメシはカップ麺でさえおいしく感じるもの。雀荘デビューを考えているオンライン雀士の皆さん、知られざる「雀荘メシ」を開拓し、麻雀に新たな楽しみを加えてみてはいかがだろうか?
(写真はイメージ)