芸能

知られざる「怪人」タモリ伝(1)デビューから数年は“夜の顔”

20131114l

 ニッポンの昼を象徴し、永遠に続くと思われた「笑っていいとも!」の終了が発表された。近年は下降気味の視聴率だったとはいえ、一大ニュースとして日本中を駆け抜けた。番組の顔であるタモリは、開始時も終了の知らせも変わらず淡々としているが、稀代の「怪芸人」の素顔はいかなるものだったのか──。

「32年間フジテレビが守ってくれた。感謝しても感謝しきれません」

 10月22日、放送の終わり間際に唐突に発表された「来年3月で終了」の報を受け、司会のタモリ(68)は謙虚にコメントした。

 82年10月4日にスタートした「笑っていいとも!」は、来年3月をもって32年間の歴史に幕を下ろす。平日の正午という時間帯でありながら、最盛期には27.9%もの視聴率を獲得。いや、数字以上に「いいとも!」は日本人の生活と一体化し、バブル期や大不況期も見つめ続けた番組であったといえる。

 そんな“昼の顔”であるタモリだが、デビューから数年は“夜の顔”で知られていた。

 筆者が初めて目にしたのは、やはり平日の正午に放送していた「アフタヌーンショー」(テレビ朝日)であった。タモリは注目の芸人として紹介され、初期の代表作「4カ国語マージャン」を披露。アメリカや韓国、フランス人などで卓を囲むのだが、それぞれの言語はデタラメながら、実にそれらしく聞こえる。

 それまで「大正テレビ寄席」や「笑点」で観ていた声帯模写ではなく、誰もやったことのない“思想模写”というスタイルに大きな衝撃を受けた。

 タモリと同じく福岡の出身である小松政夫は、素人時代から交流を持った1人である。

「放送作家の高平哲郎に紹介されて、たしか『彼も福岡ですから』って言われたのかな。で、俺の生まれは『博多』と呼べる街だけど、タモリとか武田鉄矢は『福岡市』だからってクギを刺しといた。博多どんたくの祭りに出られる場所に住んでいないって言うと、シュンとなっていたな」

 辛口で言いながら、その境遇には近いものを感じた。タモリは早稲田大学を抹籍後に帰郷し、職を転々とするうち、ひょんなことからジャズピアニストの山下洋輔らに「発掘」される。

 小松もまた喜劇役者を目指して上京したが、アテもなければツテもない。しかたなく車のセールスマンになり、ここで磨いた話術や観察眼が、植木等の付き人を経て開花した。

 小松は芸能界きっての「宴会芸」や「瞬間芸」の名人であり、タモリの初期の芸風にも大きな影響を与える。例えば代名詞である「イグアナのものまね」には、こんなルーツがあった。

「俺がクレージーキャッツについていた頃、谷啓さんと一緒に岩風呂に入っていたんだ。すると谷さんが風呂場の隅のほうで、目だけを光らせてジッとしている。で、『ワニ』って言いながら、湯船にスルスルスルッと入って来た」

 この話を伝えると、やがてタモリ流に「イグアナ」にアレンジ。小松に「あれはウケました」と礼を言ったという。ただし、真のタモリらしさが発揮されるのはこの直後だ。

「長男が生まれて、桃井かおりが揺りかごをプレゼントしてくれたんだよ。で、家に遊びに来たタモリが、ガラガラの代わりだと言ってフルチンになり、赤ちゃんの顔の上で『ほら、ガラガラ~』って言いながら腰を振っているんだ」

 小松の叱責は「赤ちゃんの目がつぶれたらどうする!」であったが、タモリの返しは「大丈夫、まだ見えちゃいません」だった。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
3
3連覇どころかまさかのJ2転落が!ヴィッセル神戸の「目玉補強失敗」悲しい舞台裏
4
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」
5
ミャンマー震源から1000キロのバンコクで「高層ビル倒壊」どのタワマンが崩れるかは運次第という「長周期地震動」