スポーツ

天才テリー伊藤対談「中西学」(3)五輪、新日入門時の挫折を経験して

テリー 今年はオリンピックイヤーですが、中西さんも92年のバルセロナ五輪に、レスリングのフリースタイル100キロ級で出場しましたね。

中西 はい、25歳の時です。その前のソウル五輪でも最後まで予選に残ったんですが、その時、代表になった本田多聞先輩にまったく歯が立たなくて。なんとか倒したいと練習して、4年後に本田先輩に勝って出られることになりました。

テリー すごい、4年間執念を燃やして勝ち取った出場権ってことですものね。オリンピックに出場するというのは、どういう気持ちなんですか。

中西 僕は浮かれてしまって、完全に自分を見失いましたね。

テリー ええ~!

中西 チヤホヤされることに慣れてなかったんですよ。それまでにも世界大会に出たことはあって多少はチヤホヤされたんですけれど、オリンピック代表ともなると扱いは全然違いますし。

テリー そりゃそうだ、世界が注目するスポーツの祭典だものね。

中西 とにかくマスコミの人や周りからメダルを期待されるんです。専修大学のオリンピック選手からも「レスリング部って伝統があるから、もうメダル候補ですよね」って言われたらその気になって「はい!」とか言っちゃって。今から思うと「アホやな」と。自分では地に足着けた練習をしていたつもりだったんですが、オリンピックが決まってからは完全に浮足だってしまいました。

テリー その一方、期待に応えなきゃというプレッシャーもありますしね。

中西 結局2回戦で負けてしまいました。もっと謙虚に現実を見て臨んでいれば、もう1~2回ぐらい勝てたかもしれへんと思いますね。

テリー そのあと、幼稚園の時から憧れていた新日本プロレスに入るわけですよね。気合い十分という感じで臨めましたか。

中西 いえ、けっこう落ち込みました。

テリー また、どうして?

中西 プロレスラーに要求されるスタミナが、これまでと根本的に違いすぎたんです。レスリングって、どんなに長くても試合は10分くらいなんですが、昔の(アントニオ)猪木さんや(ジャイアント)馬場さんなんて、ヘタすると60分間戦い続けたわけです。3~4時間ハードな練習をしてヘトヘトになっているのに、そこからまたスパーリングが始まって、みたいな感じですから。もうイチから出直す感じでした。

テリー それはキツいね。

中西 僕が持っているいいところはデビュー戦でずいぶんと引き出してもらったんですけれど、それは周りにサポートしてもらったおかげです。そのあと、どんどんボロが出てきてしまって。

テリー どうやって、その苦境を乗り切ったんです。

中西 アマチュア時代もモノになるまで10年ぐらいかかったんだから、プロレスもそれくらいかかるくらいに思ってやらなあかんな、と気持ちを切り替えたんですね。謙虚な気持ちで、基本をしっかり時間をかけてやる。だから7年目、99年のG1 CLIMAXで初優勝できた時は本当にうれしかったですね。

テリー ちなみに中西さん以降、五輪のレスリング選手はプロレス入りしていないじゃないですか。昔はジャンボ鶴田さん、長州力さん、馳浩さんとか、たくさんいたと思うんですけれどねェ。

中西 確かにちょっと寂しいですね。そういう人材が今後入ってきたら、プロレスはもっとおもしろくなると思うんですが。

※対談日は引退試合前

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
エスコンフィールドに「駐車場確保が無理すぎる」新たな問題発覚!試合以外のイベントでも恨み節
2
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
3
これも「ラヴィット!」効果…TBS田村真子アナ「中日×巨人で始球式」に続く「次に登板するアナウンサー」
4
日本人に大打撃!タイ政府「外国人締め出し」で長期滞在とビザ取得が困難に…そして口座凍結まで
5
ヤクルト・村上宗隆「上半身のコンディション不良」って何?「ポスティング移籍金」に影響するからと…