オリンピックの開催延期は、ソフトバンクホークスにとって新たな悩みの種を作ったかもしれない。
3月20日のロッテとの練習試合(ペイペイドーム)で、18年に米大リーグがドラフト1位を指名し、昨年鳴り物入りでホークスに加入したカーター・スチュワート・ジュニア(20)が1軍デビューのマウンドで“覚醒”。課題を残しつつも「大器の片鱗」を見せつけた。
「ボールが指にかかりすぎて低めにワンバウンドしたり、変化球が高めの甘めのゾーンにいってしまうなど課題はありますが、それを差し引いても魅力的なのはストレートの伸び。初回にもフォアボールなどで二死満塁のピンチを招きますが、迎える菅野剛士(26)を150キロ超のストレートやカーブで追い込むと、最後には154キロのストレートで空振りの三振を奪いました。クイックやフォアボールを5つ出すなど克服しなければならない弱点はありますが、1軍初登板としては上出来でしょう」(スポーツ紙記者)
威力十分の「真っすぐ」を投げる反面、コントロールが大きく外れるシーンも目立つ。ストライクカウントを取りに行った甘いボールをレアード(32)にレフトスタンドまで飛ばされる手痛い洗礼も受けた。
それでも、5回2安打1失点と結果を残したことで、先発ローテーション候補に名乗りを上げた格好だ。しかし、ホークス球団内部では困惑する声も上がっているそうだ。球団関係者が明かす。
「4人までしか登録できない外国人選手の振り分け方に苦労するでしょう。東京五輪延期の影響で、5月上旬に合流予定だったキューバ勢のデスパイネ(33)、グラシアル(34)、モイネロ(24)が、開幕からチームに帯同可能。バンデンハーク(34)や日本通産250セーブまであと16セーブのサファテ(38)の復活にも期待がかかる。そして、米メジャー通算54勝左腕マットムーア(30)の調子もすこぶるいいからスチュワートに出場機会を与えられるか怪しいところですね。最悪、二軍で“塩漬け”になる可能性も…」
13日の2軍中日戦(タマスタ筑後)では、6回無安打無得点の圧巻の投球を見せた。昨年は、3軍を主戦場としていたが、もはや、育成のステージでは収まりきらない。18年のMLBドラフトで、アトランタ・ブレーブスから1巡目(全体8位)で指名された逸材にブレイクの兆しが見えるが、ホークス首脳陣は、はたしてどのような起用方針を示すのか。