ノムさんと並ぶ球界屈指の論客が講演会でまたまたほえた。統一球、コミッショナー、オールスターと、「旬のネタ」を次々と俎上に載せてオレ流料理。口にすれば猛毒がジュワ~ッと広がる過激提言のオンパレードに、会場は納得と笑いの連続だったのである。
「今日ね、とりあえず統一球の話をします。で、オールスターの話をします。それから、たまたまこの前、オーナー会議があってね、コミッショナー問題が出てきたので、この3つを題材にすれば、今までしゃべったこととあまりかぶらないだろうなと思いますから」
7月17日、東京・渋谷公会堂での講演会。落合博満氏(59)がこう切り出すと、席を埋め尽くした聴衆は、球界屈指の論客が旬の話題をどうさばくのかと、食い入るように耳を傾けた。
「統一球の問題、ありました。これは全てにおいて、コミッショナーのあの会見が悪かったというだけ。あとは何の問題もない。皆さんは、何であれを隠したんだ、公表しなかったんだ、と言いますよね。オレは35年この世界にいるけども、今年の反発係数はいくつでやります、というのを聞いたことがありません。公表はしていないはずです」
球界を激震させた「統一球の反発係数変更問題」。昨年までの「飛ばないボール」から「飛ぶボール」に変わっていた一件である。球界最高責任者、加藤良三コミッショナー(71)が「私は知らなかった」と居直り会見を開いて責任回避したことで大騒動に発展し、選手会が「不信任」を突きつけたことは周知のとおり。落合氏はバッサリとこう斬った。
「何がいちばん悪かったのかというと、あそこ(ボール)に加藤良三という刻印がしてある以上、『オレは知らなかった』では通らないんだ。『実は去年まで使ってたボールは(反発係数の上限と下限という)その幅の中でやらなきゃいけなかったんだけど、過去2年のデータを取ったら、それを下回っていた。だから今年は規定の中に組み込みましたから』ということだけをちゃんと言えばよかった。それを言わないでね、ボールが変わったのかと聞かれると、いや変えてない、の一点張りだったから、問題が起きたというだけのことなんです」
まさに正論である。そしてこうも言って、加藤氏を批判したのだった。
「オレだったら簡単に終わらせた。『今までこういう数字を表に出したことはなかった。たまたま今回、数字が下がっていたので枠の中に入れた。それを素直に公表すればよかったけど、そのままにしていた。こちらに責任があります。このたびは申し訳ありませんでした』と言えば何の問題もない。でも(加藤氏は)謝るのが嫌いなんでしょうね」
加藤氏に「コミッショナー失格」の皮肉をブチかましたところで、話題は「次のコミッショナー選び」へと移行していった。
◆アサヒ芸能8/1号より