オールスターを斬ったあとは、クライマックスシリーズ(CS)、そして日本シリーズである。落合氏は猛然とCSにかみついた。
「最近、『(勝率が)5割を切った球団がCSに出てきたら格好つかないよな』と言い始める人が(NPB内に)いっぱい出てきたんです。でも、お前らがそのルールを作ったんだろ。オレは最初から反対したんだ」
オールスター前、セ・リーグの3位は勝率4割4分6厘で2位・阪神と11ゲーム差の中日。これを指していることは明らかだ。
「勝率4割5分ぐらいのところが2位に勝って1位にも勝って(日本シリーズで)パ・リーグ(の球団)にも勝ったら、『何だ、勝率5割もいかないところが日本一になったのか』となる。オレ、大喝采したい。だって皆さん、それを望んだんだから。5割を切ったチームが(CSに)出てきちゃいけないっていうルールを誰も作ってない。こんなもの、最初からわかりきってたことだよ」
まさに10年の日本シリーズを思い出す言葉。パ3位のロッテが、落合監督率いるセ覇者の中日と対戦し、まさかの日本一に。下克上と言われた、あの苦い経験がよみがえったのだろう。
前出・デスクが言う。
「落合氏の言うとおりですよ。でもNPBは金儲けをしたいから、絶対にCSはなくならない。セ・パ上位3チームをミックスしてトーナメント方式でやるという案も出てますし。あるいはファーストステージ5試合にするとか。形を変えても何とかして存続させますよ」
はたして皮肉タップリな落合氏の“大喝采”が現実のものとなるのか──。
さて、講演の締めくくりは聴衆からの質疑応答。
「横浜DeNAが強くなるには何から着手したらいいと思いますか」とのお題を与えられると、即答した。
「横浜? 全て変えなきゃダメだ。まぁでもキヨシ‥‥成績悪かったらもう辞めるって言ったんだよな。でもオレんところに入ってくる情報では、来年もやりたいって言ってるぞ」
落合氏は中畑清監督(59)とは同期で友人同士という間柄。恐らく「ホットライン」による「情報」なのだろう。
「でも男に二言があったらマズイよな。だから今のままだったら辞めざるをえないんじゃないか」
落合氏のこのセリフに対し、スポーツライターはある「裏事情」を明かすのだ。
「落合氏は来年のスケジュールを空けてるらしいですよ。なぜか講演の予定が真っ白だと。実際、DeNAが次の監督候補の一人にあげているとも聞きます」
だからなのか、落合氏は横浜再建論について「意欲的な」指摘をしたのだ。
「弱いんだったら練習すればいいじゃないか。戦力が整ってないんなら、整えるために人を連れてくるよりも、まず現有戦力の体力をどうやって上げるかを考えれば、けっこうおもしろいチームだと思いますよ。でも今のやり方じゃ無理だ。そこまで言い切っちゃうかって言われるけどね。まぁ‥‥キヨシ頑張れ、だ」
こうして120分に及ぶ猛毒独演会は終了。球界はぜひ落合氏の提言に耳を傾けるべきだろう。