新型コロナウイルスによる深刻な被害は、エンタメ業界も直撃している。多くのアーティストがコンサートの延期などを余儀なくされているが、国民的な人気バンド・スピッツもまた、昨年11月から続く全国48公演の大規模ツアーが、今年の3月以降は延期になったままである。
昨年はNHK朝ドラ100作目の「なつぞら」に、主題歌として「優しいあの子」が起用され、第3次スピッツブームが巻き起こった。昨年末の大みそかは「紅白歌合戦」の初出場も取り沙汰されるほど、待望論は強かった。そんなバンドのフロントマンである草野マサムネに今、心配されるのは「有事の際のメンタル」である。
草野は2011年3月11日の東北大震災の直後、精神的なダメージで休業を余儀なくされている。震災の6日後には医師に「急性ストレス障害」との診断を受け、所属事務所が衝撃の発表をした。
〈今回の大震災の地震自体の体験したことのない大きな揺れ、続く余震、想像を絶する被害の甚大さ、その悲惨すぎる現実が連日連夜メディアで報道され続けること、福島第一原子力発電所の深刻な状況など、それらすべてを感じ、目の当たりにし続けることで、本人に急激な過度のストレスが襲いかかってしまい、精神的な障害にまで発展してしまった〉
結果、その年の4月3日から予定されていたツアーは中断せざるを得なくなった。さるコンサートプロモーターの幹部が補足する。
「アーティストはものすごくマジメにニュース映像やネットを見てしまい、感受性が強いこともあって、普通の人以上に衝撃を受け止めてしまうんです。草野以外にもギリギリの状態だったアーティストは、震災直後は何人もいました」
草野は4公演のキャンセル後に復帰したが、げっそりやつれた姿にファンは驚きの声を上げた。一部には「悪質なストーカーに悩まされたことも重なった」との報道もあった。
そして2020年もまた、コロナ禍と大規模ツアーがタイミング悪く重なった。ふたたび草野がダウンするようなことがなければいいのだが─。