作家の乙武洋匡氏が自身のツイッターアカウントを更新、新型コロナウイルスの感染拡大で貯蓄の必要性が叫ばれていることについて一石を投じたのは去る4月10日。
乙武氏は《このコロナ禍で困窮の危機に瀕する人々に向かって、「だから、こういう時のために蓄えが必要なんだよ」とおっしゃる方々をチラホラ見かけるのだけど》と書き出し、“非常時には日頃の貯蓄が重要“との声が高まっていることに関して言及。続けて、〈あまりにそれを強調しすぎると、たとえコロナが収束しても、みんなが貯蓄を優先して消費を渋ってしまうので、結果的に景気浮揚が望めなくなるのでは〉と、貯金ムードの蔓延が日本経済の回復に大きな支障をきたす可能性を指摘した。
「確かに新型コロナのパンデミックを乗り越えた先には、落ち切った経済不況の回復という、もう一つの課題が残っており、その際に政府が国民に期待することは貯蓄ではなく消費活動でしょう。世界恐慌以来とも言われる不況が訪れると見込まれる中、国民が購買を控えてしまえば、景気の回復はどんどん遅れる、という考え方でしょう。しかし、国民の視点で言えば、あまりにも頼りない政府からの経済支援の実態こそが、貯蓄の重要性を痛感させる決定的な理由でしょう。国全体の経済を俯瞰的に解析する乙武氏の主張もわかりますが、やはりネットでは“政府が悪い“との指摘が大半で、『悪いけど、政府が何も守ってくれない、支援してくれないとなったらどんどん貯蓄に回すよ』『貯蓄するのは当たり前』といった声が多く寄せられています」(テレビ誌ライター)
国民に購買活動を期待するのなら、経済支援については、もっとセットで行われるべき、と言わざるを得ないだろう。
(木村慎吾)