女優の東ちづるが5月11日、政治的な発言をした芸能人に向けられる職業差別を憂いてみせた。同日のツイートで東は、<ファンだったのに政治発言にガッカリ><女優さんだから分かってないでしょうが>といったコメントが自身にも寄せられていると告白。その上で、芸能人は社会や時事に疎いという思い込みや上から目線があるのではと指摘し、〈職業差別が根底にあったのかあー〉とつぶやいていた。
「東の指摘には、5月10日にきゃりーぱみゅぱみゅが発したハッシュタグ『#検察庁法改正案に抗議します』のツイートに、政治評論家から《歌手やってて、知らないかも知れないけど》とのリプが来た一件も大きく影響していそうです。きゃりーは他のリプを全スルーする中、これにだけは『相当失礼ですよ』と真っ当な反論を返していました。東に対する反論でも《女優なのに》という発言は少なくなく、職業差別だと憤慨するのも無理はないでしょう」(女性誌ライター)
東によるそんな主張の一方で、芸能人による政治的発言がはらむリスクについて、別の観点から指摘する声もあるという。
「芸能人は多くのファンに愛されることが大事な仕事の一つ。ただそのファンも一様ではなく、今回のような社会的な関心事においては“反対”意見の人もいれば、その逆の人たちもいます。そのため芸能人自身が社会的な発言をした場合、きゃりーが心を痛めたようにファン同士で意見が割れて『激論が繰り広げられて』しまうのは不可避なのです。その際に反対側の意見を持つファンを失う恐れが避けられないため、芸能人による政治的な発言そのものを嫌うファンもまた少なくないのでしょう」(前出・女性誌ライター)
ただ、きゃりーに向けられた数々の“上から目線”な言動に比べると、東や浅野忠信、小泉今日子らによる“検察庁法改正反対”に対しては、批判のトーンが一段少ない点も否めない。その違いはどこから生まれるのか。
「東へのリプに《それに加えて女性差別もある》との指摘もあったように、27歳のきゃりーに対して《何も知らない若い女は騙されやすい》といった論調の反論が目立つ点は見逃せません。東や浅野など40~50代の“大人”とは異なり、若いうえに女性ということできゃりーの発言が軽んじられているのは確かでしょう。今回の問題では世間にはびこる女性蔑視、若者軽視、そして芸能人という職業に対する見下しが浮き彫りになったことも、大きなトピックとして記憶されるべきではないでしょうか」(前出・女性誌ライター)
女性、若い、芸能人という“三拍子”がそろったきゃりーに批判が集中したことは、現代社会の一面を示していたのかもしれない。
(白根麻子)