──先日の参院選特番で池上さんは安倍総理にオバマ大統領との関係について質問されてましたね。
そう。私が「実はオバマさんと安倍さんは1回会っただけ、サミットでも個別会談はできなかった。一方で、中国とは2日間にもわたって会談してるし、韓国とも会談してる。オバマさんって安倍さんのことは嫌いなんじゃないですか」って質問しました。すると安倍総理は苦笑いをしながら「いえ、日米は同盟関係だから大丈夫です」と答えたでしょ。
──はい、そうでした。
ですが、ハッキリ「嫌われてませんよ」とは否定しなかったでしょ。
──確かに、否定はしませんでした。
つまり、あれは「首脳同士の関係が悪くても日米関係は大丈夫」だって暗に言ったのと同じ。あのやり取りで安倍総理は言外に嫌われていることを認めた、と思いましたよ。
──その背景には何があるのでしょう?
これには、安倍総理が「村山談話」を見直し、未来志向の新しい談話を出すと発言したことが原因となっています。日本が過去の植民地支配や侵略を否定し、アメリカが作った戦後の秩序を破壊しようとしているのではないかとオバマ大統領は疑ってるわけですよ。
──それほど根深い問題があったんですね。
はい、総選挙後直後に安倍総理がオバマ大統領に会おうとしたが、忙しいという理由で先延ばしになったことがあったでしょ。普通、日本の新しい総理大臣が挨拶に来たいと言えば時間を作りますよ。オバマ大統領は安倍総理を警戒し、明らかに嫌っています。
──そうなると何か外交的な悪影響が出てきますか?
当然ありますよね。日米関係がギクシャクするとなると中国、韓国、北朝鮮が足元を見るわけですよ。つまり、「日米同盟とは言うけどさ、お前、アメリカの全面的なバックアップはねえじゃねえか。日本だけならどうってことねえぞ」って話ですよ。アメリカがバックにいてこそ日本の言うことも聞くわけですよ。
──場合によっては、領土問題に直結しかねないわけですね。
そう、非常にこのへんが難しいところなんです。例えば、この夏、安倍総理が靖国神社に参拝するかどうかって問題もあるわけですよね。今、参拝に行けば中国、韓国は反発してますます関係が悪くなるでしょ。アメリカはこれ以上アジアでもめ事はやめてくれと。中国、韓国との関係をよくしてくれよと日本に働きかけてる時に火に油を注ぐようなことをすれば、それこそアメリカはカンカンですよ。