内閣改造を前にして、総理にとって見逃せない動きが党内で起きた。進次郎氏に近い、石破茂地方創生相が新たな派閥「水月会」を立ち上げたのだ。
9月28日に開いた旗揚げ会見で、石破氏は「次期総理の椅子」への意欲をこう述べた。
「長く国会議員を務め、政府・党で仕事をした人間として、『私は首相にふさわしくない』と言うのは逃げではないかと反省している」
自民党の公選規定では連続して三選は認めておらず、3年後に向けた「ポスト安倍」レースは早くも始まったようだ。そんな中で総理は、「石破派」20名のメンバーに進次郎氏が参加しているか、気にしていたと政治部記者は言う。
「12年の総裁選は『安倍対石破』の争いになった。安倍陣営は投票前に進次郎氏が石破氏を支持していると知って、慌てて進次郎氏の支持表明は投票後にしてほしいと、説得しました。進次郎氏の1票は他の議員に影響を与えます。次回の総裁選で安倍総理は、初の女性総理誕生をもくろみ、稲田さんを後継者に育てる予定です。石破陣営に進次郎氏がつくと、争いが混迷するだけに警戒しています」
今のところ石破派入りはしていないが、「地方創生」でも一緒に汗を流してきただけに、石破氏周辺は次期総裁選で支援を期待しているようだ。それでも最近、態度が変わってきたと、自民党関係者は明かす。
「9月の総裁選で無投票再選が決まった時、進次郎さんは石破さんに出馬して戦ってほしかったようで、ガッカリしていましたよ」
すでに見限っているのか、最近、石破氏ではなく別の衆院議員と距離を縮めようとしているという。
「会合などの席で、『水月会』の平将明氏や齋藤健氏について、『すごく優秀な人だ』とべたぼめしているんです。数年後に党内で力を発揮する時に“盟友”として考えているのかもしれません」(前出・政治部記者)
安倍批判“騒動”の裏で着々と来るべき「決起の日」に向けて、足場を固めているようだ。
「7月中旬に稲嶺恵一元沖縄県知事が都内の勉強会に訪れた時、『沖縄で政治家が発言する場合、注意すべきことを教えてほしい』とアドバイスを受けていました。東北の復興と合わせて、今度は沖縄の米軍基地問題に貢献して、実績を作ることを画策しているようです」(前出・政治部記者)
“院政”まで敷いて権力を維持しようとする勢いの安倍総理の牙城を、はたして進次郎氏は崩せるか──。