ショートカットにスーツ姿で「ビズリーチ!」と勢いよく右手の人さし指を立てる美人女性社員。「あのCMの美女は誰?」と、多くの人の目に留まり話題を呼んだ。今や転職など不必要なまでに、女優として引っ張りだことなった謎多き彼女の素顔に迫る。
今月5日に最終回を迎えた篠原涼子主演のドラマ「ハケンの品格」(日本テレビ系)でも、契約更新にやたらとおびえる派遣社員を演じて存在感を放っていた吉谷彩子(28)。そのキャリアを語るうえで無視できないのは、16年2月から放送された転職サイト「ビズリーチ」のCMだろう。
芸能評論家の竹下光氏が語る。
「CM出演をきっかけにブレイクした女優といえば、80年代に3Mと呼ばれた宮沢りえ、牧瀬里穂、観月ありさ、2000年代初頭に消費者金融のCMでブレイクした小野真弓などが広く知られています。テレビ黄金期であれば珍しくはありませんが、これだけテレビ離れが叫ばれる昨今においてはレアなケースと言えるでしょう。ともすれば、最後の『謎のCM美女』になる可能性すらありますね」
吉谷は当時、オーディションを経て同CMへの出演を果たすと、やはりオーディションで17年秋放送の「陸王」(TBS系)への出演を決めてステップアップした。
作中では老舗足袋製造会社で社長の息子を慕い、陰ながら支える最年少従業員を好演。話題性だけではない、その女優としての実力を世に知らしめた。
19年秋には木村拓哉主演の「グランメゾン東京」(TBS系)では、「陸王」での健気な清純キャラから一転して、自信家で小生意気なパティシエ役を演じて作品を彩っている。
今夏も先の「ハケンの品格」に出演する一方で、吉川晃司主演の連続ドラマ「探偵・由利麟太郎」(フジテレビ系)にも出演するなど八面六臂の活躍を見せているのだ。
「同時期に制作、放送される、複数のプライム帯の連続ドラマに配役されるというのはまれで、それだけ彼女の演技力が業界内で高く評価されている証左でしょう」(民放テレビ局のドラマ制作スタッフ)
女優として着実に存在感を示し始めた吉谷の魅力について、芸能ジャーナリストの佐々木博之氏もこう太鼓判を押す。
「独特のショートカットが印象的ですが、いい意味で近所の商店街のパン屋や区役所の受付などにいそうな、性格のよさや身近さを感じさせるタイプですね。それでいて、パッションを感じる情熱的な目をしていて、幅広い役に対応できる柔軟な演技力が光ります」
「ビズリーチ」で知名度も大きく上げた吉谷だが、ブレイクに至るまでの過程には長い下積み時代があったことも無視できない。