清純派女優、多部未華子の表情豊かな演技が評判だ。ドラマ「私の家政夫ナギサさん」が今期の平均視聴率で「半沢直樹」に次ぐ2位を記録。また、10月公開の主演映画では逢瀬に溺れるOL役を好演しているが、5年前公開の映画では意外にも過激なシーンにも果敢に挑戦していた。
多部未華子(31)主演のドラマ「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)。初回視聴率は14.2%(ビデオリサーチ調べ/関東地区/以下同)と好スタートを切ったものの、徐々に下がって第4話では12.4%を記録。だが一転して、その後は右肩上がりに数字を伸ばし、第8話では16.7%の高視聴率を叩き出した。スポーツ紙記者が話す。
「多部が演じるのは、製薬会社のMR(医薬情報担当者)として働くキャリアウーマン。それでいて家事と恋愛が大の苦手というメイ役。そのメイが大森南朋(48)演じる家政夫を雇うことから巻き起こるハートフルコメディです」
仕事とプライベートの両立に悩む現代のアラサー女子たちの共感を呼び、ジワジワと人気に火がついた。
「TBSの火曜22時枠は女性が主人公で、その世代から好感が持たれることをコンセプトにしている。『わたナギ』は『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)の脚本家・徳尾浩司氏を招き、黒木華(30)主演のヒット作『凪のお暇』(TBS系)を手がけた演出陣が加わるという、意欲作なんです」(スポーツ紙記者)
さらに隠し味が「毒親」の存在。映像プロデューサーの島右近氏が解説する。
「メイの夢は『お母さんになること』だったのに、草刈民代(55)演じるメイの母親が『仕事のデキる女性になって』という価値観を押しつけ『やればできる子』と呪いをかける。その呪文を解いてくれたのが家政夫のナギサさんです。このような『毒親』から逃げ出すドラマといえば『凪のお暇』や『過保護のカホコ』(日本テレビ系)など、いずれもヒットしています」
さまざまな「味付け」に多部の演技力が加わり、心を奪われたのは何もアラサー女子だけではない。オヤジたちをドキッとさせるシーンも、ふんだんに盛り込まれているのだ。
「第4話でメイと瀬戸康史(32)扮する田所が夜の公園で一杯飲みした時、田所から『マヨ、ついています』と口元を拭われる時の一連のしぐさは秀逸。また、第7話でメイがナギサさんに抱きつくシーンは、さまざまな角度から撮影していて、それをスローで5回も流した。あの演出にも胸がキュンキュンしましたね」(島氏)
芸能ジャーナリストの佐々木博之氏もこう話す。
「彼女の魅力が120%引き出されているドラマで、代表作になるでしょうね。16年に新垣結衣(32)が主演した『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)は『逃げ恥』と呼ばれ、国民的ブームとなった。今回も『わたナギ』と略称で呼ばれる人気ぶりですし、最終回の視聴率も楽しみです」
ちなみに「逃げ恥」の平均視聴率は14.5%で「わたナギ」は最終回を前にして同じく14.5%。平均視聴率で「逃げ恥」を超える可能性は高く、多部が「令和の視聴率女王」の座に輝くのは間違いなさそうだ。
(本記事は週刊アサヒ芸能2020年9月1日発売号に掲載)