そもそも多部は、小学5年生の時にミュージカル「アニー」を見て女優に憧れを持ち、中学時代にスカウトされて芸能界入り。映画「HINOKIO」(松竹)と「青空のゆくえ」(ムービーアイ・エンタテインメント)の好演で、05年のブルーリボン賞新人賞を受賞している。
そして09年、NHKの朝ドラ「つばさ」でヒロイン役に抜擢され、一躍注目を浴びるようになった。が、朝ドラのワースト視聴率(当時)を更新するなど、挫折を味わうことになる。
「朝ドラ終了後、彼女は舞台の世界へ行きます。10年には野田秀樹脚本、松尾スズキ演出の『農業少女』で初舞台を踏み、読売演劇大賞・杉村春子賞を受賞。その後も名だたる演出家の作品で演技を磨き、14年に蜷川幸雄演出の『わたしを離さないで』に出演した際、千秋楽のあと、天下の蜷川さんに『一緒にシェークスピアをやりたい』と直談判。16年の舞台『尺には尺を』への出演を勝ち取っています」(島氏)
多部の女優としての資質にほれこんだのは演出家ばかりではない。18年9月に他界した名女優・樹木希林(享年75)は、後継者に指名していたほどだ。
「希林さんの遺作となった映画『日日是好日』(東京テアトル/ヨアケ)の特別試写会の席で、オフィシャル・アドバイザーの観世あすか氏が『私のあとを継いでくれる芯のある女優さんだと信じていると、何度もお話しいただいていました』と、多部に寄せる希林さんの思いを明かしていました」(スポーツ紙記者)
映画の撮影現場でも2人は仲よく話している姿が目撃されており、映画関係者も次のように話す。
「撮影の合間に、結婚について希林さん自身の体験談を多部ちゃんに話すこともあった。その1年後の19年10月に写真家の熊田貴樹氏と結婚したので、『希林さんが後押ししたのではないか』といった話題が持ち上がったほどです」
2人が知り合ったきっかけは、16年から放送されている深田恭子(37)、永野芽郁(20)と3姉妹役で出演している「UQモバイル」のCMだ。
「このCMを手がけたのが熊田氏。アーティストのジャケット撮影など写真家として有名ですが、映像関係でも各方面で活躍している敏腕クリエイターです」(スポーツ紙記者)
近年、写真家と結婚した有名人といえば、宇多田ヒカル(37)や安達祐実(38)がいるが、この2人に共通するのはプライベートをあまり明かさないこと。多部と熊田氏の新婚生活もまた、謎のままだ。
「昔から多部ちゃんは舞台の地方公演中もスタッフとは飲みに行かず、部屋で過ごすタイプ。遊び仲間は高校や東京女子大時代の友人たちで、『わたナギ』のメイとは違って家事もこなすタイプ。仲のいいお母さんから『多部家の伝統の味』を教わっているそうです」(映画関係者)
いずれにしても「結婚を機にキレイになった」という声は少なくなく、CM業界からも注目されている。広告代理店関係者が話す。
「新妻となり、スキャンダルの心配がないし、代表作が生まれたことでCM契約料は現在Aクラス(3000万~4000万円)ですが、吉高由里子(32)などのSクラス(4000万~5000万円)入りも間違いないですね」
人妻のフェロモンと本格派の演技力を武器に、今後も快進撃は続きそうだ。
(本記事は週刊アサヒ芸能2020年9月1日発売号に掲載)