女優の竹内結子さんが40歳の若さで急逝したのは9月27日。96年のデビュー以来、70作品以上のドラマや映画に出演。03年から3年連続で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞するなど、実力派のトップ女優として君臨し続けてきた。中でも観客を感動の渦に巻き込む「ラブシーン」には定評がある。その「厳選8作品」を3回に分けてプレイバックする。
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「俺に合う女はいない。世界中のどこを探してもきっと‥‥亜紀以外は。OKだったら契約書にハンコを押そうよ」
「そういうこと‥‥みんなに言うの?」
「んなわけねーじゃん。じゃあ、俺のプライドにかけて誓うよ。お前だけ」
はにかみながら、目にうっすらと涙を浮かべて「いいよ‥‥メイビー」と答える亜紀。
男は首を横に振りながら「マストビー」と口にし、亜紀をそっと引き寄せ、2人の唇が重なり合う─。
これは04年、平均視聴率25.2%を叩き出した大ヒットドラマ「プライド」(フジテレビ系)のラストシーンである。スポーツ紙記者が当時を振り返る。
「最終回の視聴率は28.8%を記録しました。このドラマで木村拓哉と亜紀役の竹内結子のキスシーンは3度あるのですが、特に最終回は、背後で花火が上がる演出も加わり、キムタクファンも納得の感動シーンでした」
この2人が再びタッグを組んだのは、17年のドラマ「A LIFE~愛しき人~」(TBS系)である。
「それまで共演の話がなかったわけではないでしょうが、実現するまでに13年の歳月を要した。キムタクの妻・工藤静香が出した『竹内とのキスはNG』という条件を局側が飲んで実現したとの噂もありましたが、それだけ『プライド』のキスシーンは、世に衝撃を与えたとも言えるでしょう」(スポーツ紙記者)
そもそも竹内は、中学校卒業後の春休みに東京・原宿でスカウトされて芸能界入り。その翌年の96年、堂本光一主演のドラマ「新・木曜の怪談Cyborg」(フジ系)で女優デビューを飾り、99年にはNHKの朝ドラ「あすか」でヒロインを務めると、国民的女優の仲間入りを果たした。その後の快進撃は共演者の顔ぶれにも見て取れる。
コラムニストの峯田敦氏によれば、
「これほどジャニーズのタレントと共演している女優はいないでしょう。誰もが納得する美人で、プロ意識が高く、共演しても恋愛沙汰になることはない。そういう信頼を得ていたからこそ、ラブシーンの相手役として多数の作品に出演している。まさに『ジャニーズのイチオシ女優』でしたね」
キムタクの他にキスシーンを演じたのは、SMAPでは中居正広が外科医と看護師の恋愛物語「白い影」(01年、TBS系)で。フラワーショップが舞台の「薔薇のない花屋」(08年、フジ系)では香取慎吾。さらにTOKIOの長瀬智也と「ムコ殿」(01年、フジ系)で、嵐の松本潤とは「夏の恋は虹色に輝く」(10年、フジ系)で、という具合だ。
「香取とのキスはバラ園、松潤とは青空の下でしたが、長瀬との場所はちょっと変わっていて、墓地。長瀬の母親が眠る墓の前で号泣する竹内のもとへ駆けつけた長瀬と熱いキスを交わすというものでした」(スポーツ紙記者)
キスシーンになると、笑顔のかわいい印象が一変して女性の顔になるのも彼女の魅力だったという。