テリー 一緒に逮捕された女性は、もちろんおつきあいしてた方なんだろうけど、どういう人だったんですか。
高知 その時は、自分の悩みやツラいことを何でも話せる大事な女性だと思ってました。僕は家族や友人には、あまりそういう話はできなかったので。
テリー 悩みやツラいことというのは?
高知 やっぱりエステの会社や、そこで雇っている社員のことです。これも今にして思えば間違った考えだと思いますし、社員のみんなも一生懸命働いてくれていたんですけど、僕からすると物足りなかった。「やる以上はみんな本気で、同じ方向を向いて」とか「もっと燃えて働かねぇとダメだろ!」みたいな根性論や精神論を求めてしまっていたんです。
テリー やっかいな社長だね(笑)。
高知 ですから、そういう価値観を共有できる人でないと、そもそも相談にならないという面もあったんです。で、思い切って相談してみたら、あまり理解してもらえなくて逆に苦しくなったり。同業者の女房には、そんな場違いな相談をして迷惑をかけたくないという思いもありました。そんな中で、その女性には自分をさらけ出して話ができたんです。
テリー うーん。
高知 でも、そういう相手だと思っていた彼女が、薬物を一緒に使っていくうちに、だんだん秘密を握り合う恐怖に変わってくるわけですよ。別に脅されたわけではないんですけど、勝手にそんな妄想に陥って、それを忘れるために、また使うみたいな悪循環になって。それで、「いつでもやめられる」「自分でコントロールできている」と思っていた薬物に、いつの間にか支配され、使用頻度が高くなっていきました。
テリー 頻繁にはやってなかったとしても、薬物とのつきあいは30年以上ですよね。まだ立ち直ってる途中だと思いますが、何がその力になったんですか。
高知 僕の場合は「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中(紀子)さんという方から連絡をもらったことが大きいです。実は逮捕されて1年ぐらいは、会社の財務処理などに追われて、バタバタしていたんです。ところが2年目にそれが落ち着くと、すごい孤独感に襲われてしまいました。当然、人は僕から離れていってしまいましたし。
テリー 仕事もないしね。
高知 はい。残ってくれた、数少ない友人が「あまり外に出ないほうがいい」ということで、代わりに買い物に行ってくれたりしていたんですが、やっぱりなかなか欲しい時に欲しいものが手に入らなくて、イライラしてしまったり。
テリー そりゃあ、友達にも都合があるから。
高知 わかっているんですけどね。そんな、いちばん苦しい時に連絡をくれたのが、依存症支援者の田中さんで、ご自身も依存症に苦しんで快復した方なんです。で、その自助グループに参加したら、同じように苦しみ、それでも頑張って再起している人たちに出会えました。それで少し光明が見えて、その光が今は希望に変わった感じです。
テリー この前、元薬物依存の方がテレビのコメンテーターで、僕一緒だったんですね。で、CMの時に「また薬物をやりたくなることはないんですか」って聞いたら「ムチャクチャあるんだよ」「今でもすごく揺れ動く」って言ってたんです。高知さんはどうですか。
高知 僕はその方ほど「やりたいです」とは思わないけど、気持ちはわかります。だからこそ、僕は快復し続けて、社会で再起して頑張ってる人と、つながり続けることが大事だと思ってます。