政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、進次郎氏の本音は別のところにあると見ている。
「震災後は他のどの議員よりも被災地を訪れてる進次郎氏は、その現状を知るだけに、原発推進とは思っていない。むしろ、本音では父親と同じように『脱原発』の考え方の持ち主です」
実際に、震災から3カ月後に行われた講演で、進次郎氏はこう話している。
「同じ『脱原発』でも、人によって時間軸が違うのです。重要なのは『脱原発』するにしても、『いつなのか』なのです。私は原発以外の自然エネルギーの可能性を模索するのが、日本の将来にとって好ましいと考えています。しかし、今日すぐにスイッチオフという考え方は取りません」
言葉の過激さこそないが、父親が講演で述べている内容とほぼ合致している。ということは、小泉氏の一連の「脱原発宣言」は上役に対しておとなしい息子への叱咤激励ということなのだろうか。
「むしろ、自分の弟子に当たる安倍総理へのメッセージなのではないでしょうか。支持率をキープしたまま、消費増税までこぎつけた安倍総理ですが、本当に憲法改正まで成し遂げるつもりならば、より高い国民の支持が必要です。独特の政局の勘を持っていた小泉氏ですから、今こそ『脱原発』を唱えたほうが得策だという思いがあるのでしょう」(前出・鈴木氏)
ところが、安倍総理には、小泉氏の本意が届いていないようだ。前出・政治部デスクはこう話す。
「新聞などで小泉氏の発言が取り上げられると、総理は『小泉さんらしい言い方だ』と話し、『同じ総理経験者でも中国寄りの鳩山氏よりはマシだ』という趣旨のことを話したそうです。野党からも小泉氏の発言を容認する声ばかりでなく、『無責任だ』という声も上がっており、総理はそれに気をよくしているのかもしれません。原発の輸出だけでなく、福島第一原発で培った廃炉技術も海外への輸出をもくろんでおり、小泉氏が何を主張しようが、総理の原発推進の考えに変わりはないようです」
しばらくは、小泉氏の“暴走”はやみそうになく、進次郎氏も政府内で肩身の狭い思いが続くことになりそうだ。