社会

フクシマ「汚染水タレ流し」の衝撃現場(1)除染作業員が目を疑う光景を目撃……

20131024t

 放射性物質を浴びた福島県内で、町の「再生」を目指して、除染作業が行われている。そんな中で、ある除染作業員が目を疑う光景を目撃していた──。

「えっ、何しているんだろう? 側溝に流したらヤバいんじゃないの‥‥」

 目前の光景をいまだに信じられないまま、当時を振り返るのは、昨年から福島県の楢葉町で除染作業員として働く20代後半のA氏。

 楢葉町といえば、東京電力福島第一原子力発電所の過酷事故後、警戒区域に指定されていた。その指定も8月10日に解除され、避難指示解除準備区域として除染作業が進められている。

 作業では放射性物質を含んだ土や草、落ち葉や枝などの除染廃棄物を、「フレキシブルコンテナ(フレコン)バッグ」と呼ばれる袋に、圧縮して詰め込んでいく。それを「仮置場」に運んで、積み重ねて保管している。

「楢葉町には、仮置場が点在していて、一つのエリアごとに数千個のフレコンバッグが集められています。雨が降るとフレコンバッグにしみて、除染廃棄物から汚染水が漏れてくるので、地中に埋まった集水タンクにたまる仕組みになっています」(前出・A氏=198ページの図を参照)

 集水タンクの大きさは2リューベ(2立方メートル=2000リットル)ほどで、雨が続けばすぐにいっぱいになる。汚染水の処理を任された除染作業員たちの班は、バキューム車で吸い取り、大谷地区の仮置場にある濁水処理設備まで運ぶという。

 A氏が目撃した「側溝に流されていた水」は、ふだんはその濁水処理施設に運ばれるはずのものだったのだ──。

 仮置場に集積されている除染廃棄物の放射線量とは、どの程度なのだろうか。除染・汚染水処理に詳しい、NPO法人「再生舎」の環境技術アドバイザー・細渕慈貴氏が解説する。

「私たちが福島県本宮市のプールなどで除染作業をした時、フレコンバッグに詰めた除染廃棄物の放射線量は、10マイクロシーベルト前後でした。フレコンバッグは耐久性が低いので、仮置場に積んでいる状態でも劣化して破れやすく、放射性物質を含んだ汚染水がしみ出してくる状態になっています」

 そして、この楢葉町の仮置場で、A氏は冒頭の「タレ流し」現場を目撃することになった。

「今年9月中旬頃、楢葉町の除染廃棄物の回収工程が終わりました。作業は仕上げに移り、フレコンバッグの上に遮水シートをかけて、各仮置場の集水タンクの汚染水を回収していくことになりました。ただ、作業員たちの間では、処理する集水タンクの量が多すぎて、大谷地区の濁水処理施設だけで処理が間に合うのか心配の声が上がっていました」(前出・A氏)

 その懸念は現実のものになった。A氏が話を続ける。

「ある仮置場で作業をしていた時、見たことのない作業員が数人いました。彼らは地中の集水タンクからポンプで、汚染水をフェンス外の側溝に勢いよく放出させたのです」

カテゴリー: 社会   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
同僚ヘルナンデスが指摘!第一子誕生の大谷翔平「ボールが見えない」のは「夜中に起きなきゃいけない」から
2
前世の記憶を持つ少年「僕は神風特攻隊員だった」検証番組に抱いた違和感
3
メジャーリーグ評論家が断言「村上宗隆はヤンキースに行くしかない」意外な理由
4
「二股不倫醜聞」の永野芽郁は映画「かくかくしかじか」宣伝にどんな顔で出てくるのか
5
病気治療「もちまる日記」休止に追い討ちをかける「ありえないサムネイル画像」問題