芸能

ビートたけしの名言集「カンペを読みながらの芝居、そして漫才」

「おかしいな? 俺、いつからカンペでやるようになったんだ? 昔はちゃんと覚えてやってたんだけどな」

 つい先日、殿と雑談をしていると、なぜか“最近は映画やドラマで芝居をする時、オイラはカンペを多用する”といった、みずからの告白があり、その後、殿はまるで他人ごとのように、冒頭の言葉をつぶやいたのです。ちなみに「カンペ」とは、役者さんがセリフを覚えられない時に作成するカンニングペーパーのこと。

 で、そんな殿のつぶやきに対し「僕が殿の付き人で参加した『血と骨』(04年)や『鬼畜』(02年)、『兄弟』(99年)なんかでは、セリフもたくさんありましたけど、殿は普通に覚えてやってましたよ」と擁護的発言を入れると、殿は間髪入れず、

「そうだよな! 俺も昔はちゃんと覚えてやってたよな!」

 と、いたく同調したのでした。

 これはわたくしの勝手な憶測ですが、殿がカンペを多用しだした作品は、ハリウッド映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」(17年)に参加したあたりからであり、この時、殿は「主演のスカーレット・ヨハンソンが、俺のカンペを持ってくれていた」と、舞台あいさつの場で撮影秘話を語っていました。

 ちなみに、この時の舞台あいさつでは「こんにちは。渡辺謙です」と、まずは“国際派俳優名前ボケ”をしっかり入れてからしゃべり出していました。

 で、殿とカンペといえば、以前、某プロデューサーから聞いた、あるエピソードが、わたくし的にはすぐ思い浮かびます。

 それは80年代初頭、一大ブームを巻き起こしたネタ番組「THE MANZAI」の中で、当時、恐ろしく多忙だった殿はネタを覚えている時間がなく、苦肉の策として、本番でADにカンペを持たせて、それを見ながら漫才をやったといったものです。

 初めてこの話を聞いた時、正直、〈とんでもなく速いあの漫才スタイルで、カンペを読みながらやるなんて、本当にできるのか?〉と、とても信じられず、殿に確認したのですが、

「そうだよ。あの時は本番ギリギリまでネタ考えててよ。もう覚える時間もねーから、カンペにネタのワードだけ箇条書きで書いて、それ見ながら一発勝負で漫才やったんだよ」

 と、サラッと答えてくれました。すげ~。ちなみに、カンペを持たされたADさんは、殿のしゃべるスビードに合わせてカンペをめくらなければならず、ミスの許されないその作業に、恐ろしく緊張を強いられたと後日、語っていたそうです。そりゃそうだ!

 で、常々「客前でのネタは何度経験してもいちばん緊張する」と公言している殿ですから、しくじれない番組で、カンペを見ながらの一発勝負という漫才は、それはそれは想像を絶する緊張をしたのでしょう。

 そして、そんな殿は、とんでもなくピリピリした“怖い怖いビートたけし”だったことでしょう。

ビートたけしが責任編集長を務める有料ネットマガジン「お笑いKGB」好評配信中!

http://www.owarai-kgb.jp/

◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
暴投王・藤浪晋太郎「もうメジャーも日本も難しい」窮地で「バウアーのようにメキシコへ行け」
3
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
4
侍ジャパン「プレミア12」で際立った広島・坂倉将吾とロッテ・佐藤都志也「決定的な捕手力の差」
5
怒り爆発の高木豊「愚の骨頂!クライマックスなんかもうやめろ!」高田繁に猛反論