吉田拓郎、井上陽水を筆頭に、70年代は「フォークソング」が爆発的なブームを呼んだ。叙情派デュオの最高峰に位置した「ふきのとう」も、74年のデビュー以降、ヒット曲を連発。79年の「春雷」もまた、季節のスタンダードとなる名曲である。作詞作曲を手掛けた山木康世が語る。
「最初は男女の別れをテーマにした歌詞でしたが、マネージャーに弾き語りで聞かせたら『メロディーは文句なし。でも詞はこれじゃない』と言われて書き直し。僕の中で札幌にいる母親がガンで死期が迫っていることに頭がいっぱいだったので、母へ歌で恩返しできればという歌詞になりました」
同じ79年、岸田敏志(当時・智史)が歌った「きみの朝」は、チャート1位に輝く大ヒットになった。
「TBSのプロデューサーから、新人歌手のサクセスストーリーをテーマにしたドラマを作りたいと言われました。てっきり、劇中の音楽担当かと思ったら『いや、出演もしてほしい』と言われて『ええーっ!』となりましたよ」
役柄と歌声がシンクロした先駆けのケースだった。3月23日発売の「週刊アサヒ芸能」4月1日号では、ほかにも山崎ハコ、永井龍雲のインタビューや、音楽評論家・富澤一誠氏による「拓郎・陽水からアリス・松山千春まで」の歴史検証などを大特集。フォークファンにはたまらない内容となっている。