ほんの一瞬だけでも満足なのに、一般作の枠からハミ出るかのように、情交シーンにトコトン時間を割いた作品も存在する。ここに「最長ベッドシーン」のベスト3を発表する!
男の上になり、髪と爆裂バストを振り乱すかたせ梨乃が、「ウゥ…アァッ!」と声を漏らすと、柄本明扮するその男が上になる体勢を入れ替える。そして波打つように貫くと、かたせは顔をゆがめ快感に身を任せる。カメラはほぼ定点で置かれ、「成熟した情交」の一部始終を延々と映し続ける─。映画ライターの松井修氏によれば、この映画「身も心も」(97年、東映ビデオ)の第一印象は、柄本とかたせのベッドシーンが「長い」ということだったという。
「カットが非常に少ないのも特徴的で、ここまで長回しで撮るのかと驚きました」(松井氏)
同作は異例の69の形で愛撫し合う艶技にまで挑んだ意欲作として知られ、カラミ時間は合計約18分のロングラン。それでも、この記録は3位だった。
これよりも、さらに長い約25分間のベッドシーンがあるのが「火口のふたり」(19年、ファントム・フィルム)。前述の柄本の息子である柄本佑が作中、懸命に腰を振っている。相手は、近年ベッドシーン界を席巻している感のある瀧内公美。執拗に下腹部を愛撫され、「グチョグチョでしょ」と上目遣いでささやくなど、妖艶な演技を見せた。ベッドだけに限らず、自宅の廊下やリビングのテーブルの上、そして観光バスの中、雑居ビルに挟まれた路地裏など、ところ構わず柄本を受け入れる。こちらも、長回しが特徴的なベッドシーンとなっていた。
「監督はどちらも荒井晴彦氏。こういう演出を昔から積極的にやってきた人です」と話す松井氏によれば、そもそも一般作におけるベッドシーンが産声を上げたのは、“日活ロマン映画”だったという。
「監督陣も俳優陣も経験ゼロのまま、突然『撮れ』という状況で、『どうやって濡れ場を演出すればいいのか』という困惑もあり、本音では撮りたくなかったそうです。だから、ノーカットの長回しのベッドシーンなんて、かつてはありえない演出だった。そこに、あえて挑んでいるのでしょう」(松井氏)
そんな「長回しの巨匠」が手掛けた作品を上回る最長の第1位は、「二十六夜待ち」(17年、フルモテルモ)である。黒川芽以が井浦新(46)を相手に挑んだ総カラミ時間は35分。実に上映時間の25%を占めていた。
「黒川はバストトップ未解禁でしたが、井浦のねちっこいピストンに呼応するように、アエギ声を上げながら華奢な腰をこすりつけるさまはいやらしすぎる。ほぼノーカットで撮影されたカラミは23分に及び、『ノーカットの女王』と言えます。浴衣の帯で手首を縛られた場面で、上の口には舌を、下の口にイチモツを挿入されて、あまりの濃密さに、公開当時は『本当にシテるのでは…』と話題になったほどです」(映画ライター)
性的表現への規制が強まる中、黒川のロング艶技を超える作品は今後、現れるのか。