記録よりも記憶に残る─。脳裏に焼き付く情交シーンが、知らぬうちに思わぬ記録を達成していることもある。そんな珍記録樹立の瞬間を以下に!
上映時間123分のうち、たったの19分間─。この数字は「愛の渦」(14年、クロックワークス)で見せた出演者の着衣時間だ。“入り乱れて交わる”クラブに集った門脇麦や池松壮亮が演じる参加者たちは、マッパかバスタオル1枚で過ごす。池松にまたがり、背中を見せる形で馬乗りになって腰を振る門脇に目を奪われている間も、他の参加者はマッパ。スクリーンは肉まみれなのだ。「着衣時間最短記録」は、こうして打ち建てられた。
映画の舞台は全国津々浦々。ただ、日本列島は南北に伸びている。それゆえ、「最北端ベッドシーン」と「最南端ベッドシーン」記録が存在する。「駅STATION」(81年、東宝)で倍賞千恵子は高倉健と交わった。舞台は北海道増毛町。事後に倍賞が尋ねる。
「ねえ私、おっきな声出さなかった?」
高倉は「いやあ」と言葉を濁して否定するが、「樺太まで聞こえるかと思ったぜ」と心の声が…。海境を越えた絶叫アエギを「最北端ベッドシーン記録」に認定したい。
対して「最南端ベッドシーン記録」は、「シェル・コレクター」(16年、ビターズ・エンド)での寺島しのぶが勝ち取った。リリー・フランキーと「合体」したのは、沖縄県那覇市からフェリーで約70分、渡嘉敷島のビーチ。砂浜に建つ居処で、寺島が全脱ぎ姿で腰をくねらせる。対面で座った形での情交のリズムと、絶えない波のざわめきがリンク。みごとな「南国情交」は記録保持者にふさわしい。
打って変わって、「青春の蹉跌」(74年、東宝)の桃井かおりは、極寒の地で記録を樹立。萩原健一と惰性で関係を続け、訪れたスキー場で桃井は上半身を脱いだ姿に。そのまま雪を背に肉欲のままにお互いの体を求め合う。感じているのか、それとも凍えているのか‥。桃井の小粒なバストトップの硬さがヒシヒシと伝わってくる。「バストトップ最硬直記録」が誕生した瞬間だった。
情交シーンで硬くなるのはバストトップだけではない。当然、俳優の下腹部は膨張する。その「膨張率最高記録」は、小柳ルミ子の「白蛇抄」(83年、東映)で達成された。劣情をたぎらせる義息役の杉本哲太は小柳と結ばれ、情事に溺れていく。しかし、別れの時はやってくる。杉本はやり場のない欲望を下腹部宿すと、屹立したシンボルを障子に突き立て、次々と貫いていく。結合時、小柳が「堪忍え~」と叫んだのも、うなずける立派な膨張率であった。
もちろん女優も負けてはいない。「赤い橋の下のぬるい水」(01年、日活)で、清水美沙が「体液吹き最長飛距離」を達成。対面で座った形で交わりながら、天井に向け吹き飛ぶ潮は高圧洗浄機レベル。軽く2メートルを超えていたと評判になったものだ。当時は宣伝もこの体液吹きシーンだったと振り返る。
「そんなに出せばいいってもんじゃないだろうと思いましたがね(笑)。でも話題になりましたから大成功ですね」(映画ライター・松井修氏)
次のベッドシーン珍記録を見逃さないよう、ご注意を!