元プロ野球選手、川上憲伸氏といえば、997年にドラフト1位で中日ドラゴンズに入団。2度の最多勝に輝くと、2009年と2010年は海を渡りMLBのアトランタ・ブレーブスに籍を置いた。が、ふたたび中日に戻り、14年にユニフォームを脱いでいる。NPBにおいては、中日一筋となる川上氏だが、意外にも「巨人のファンになった」試合があったそうで、みずからのYouTubeチャンネル〈川上憲伸カットボールチャンネル〉の4月23日付け〈【伝説】落合博満が涙した2006.10.10優勝決定戦&長嶋巨人大逆転Vの舞台裏2000.9.24〉のタイトル回で明かしている─。
それは、巨人がリーグ優勝を飾った、00年9月24日の東京ドームで行われた「巨人‐中日戦」だったようだ。優勝へのマジック1と迫った長嶋茂雄監督率いる巨人が「0対4」のまま9回裏を迎え、「今日の優勝はないだろう」とあきらめムードの中、広島から移籍した江藤智氏が同点満塁ホームランで追いつき、次の打席に入った二岡智宏氏がサヨナラホームランを放つという劇的勝利だった。
この試合には登板しておらず、三塁側のベンチで見ていたという川上氏は、江藤氏が満塁ホームランを放った直後、不謹慎ながら「ここでの(巨人の)優勝が見てみたい」と思ったそうだ。直後に二岡氏が逆転ホームランを放つと、盛り上がるジャイアンツカラーのオレンジ色が、スタンドから川上氏の目に鮮やかに飛び込んできたといい、「ドラゴンズで頑張ってた自分が、なぜか一瞬巨人ファンになったような…」と、感慨深く振り返っている。
「ここだけの話、絶対内緒だよ」と、笑いを誘う川上氏。それにしても、敵をも魅了するほどの鮮やかな逆転劇だったとは…。選手とファンが一体となり作り上げた優勝だったのであろう雰囲気が伝わってくる、貴重な話を聞くことができた。
(ユーチューブライター・所ひで)