「水戸黄門」↓入浴シーン↓由美かおる(60)。こんな連想が当たり前だったのが、国民的番組「水戸黄門」である。86年第16部より「かげろうお銀」で登場し、第21部から「疾風のお娟」として第41部まで25年間レギュラーを務めた由美かおるに、撮影の舞台裏を聞いてみた。
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——-水戸黄門」が今年いっぱいで終了です。
「ニュースで知りまして、ビックリしました。とっても残念に思いました」
——-さっそくですが入浴シーンについての質問です。レギュラーになる前に入浴シーンを撮っていた?
「何度もゲストでも出させていただいてます。いちばん最初は75年に、売られていく田舎娘の役。お風呂で悲しんでいたら、黄門様が木窓越しに『どうしたのじゃ?』と声をかけてくださるシーンでした。ですから、最初の出演から、入浴シーンがあったんです」
——-その頃の由美さんは「同棲時代」(73年)、「しなの川」(73年・ともに松竹)などの映画でヌードが話題に。ドラマでもヌードが要求されたんでしょうか?
「あ?、とても恥ずかしいですね。本来、ヌードは苦手です。私自身は、できれば自分のお家のお風呂でゆっくり入りたい(笑)。撮影では、やっぱり緊張しますから」
——-先のシーン(第6部の「哀愁稗搗節」)では、黄門様がお風呂をのぞいてた。
「そうですね、よく考えるとヘンですね(笑)」
——-その後、風車の弥七(中谷一郎)から「御隠居、こんなところで何をしているんですか?」と声をかけられて「お前さんの見るものじゃない」と答えてる。
「はははは。おもしろいですね。コメディみたい」
——-思い出の入浴シーンはありますか?
「レギュラーになったばかりの時、岩風呂を京都の太秦の東映スタジオにセットで作ったんです。土を掘って、漏れないようにビニールシートを敷いて水を張るんです。周囲に草とか木を植えて、ステキな岩風呂になりました。装置の人たちは大変だったと思います」
——-まるでロケみたいに。
「はい。それで演じているうちに、だんだんお湯が減ってきて『もうちょっと沈んで』と言われるんです」
——-そのセットは、その1回の撮影のためだけ?
「そうなんです。檜のお風呂だったり五右衛門風呂だったり、樽みたいだったり‥‥いろんなお風呂が出てくるんですが、毎回、毎回、そのつど作ったんです。しかもお湯がパッと沸くんじゃなくて、朝から電熱器のようなものを水に入れておいて、やっと温かくなる。熱くなりすぎたら、また水を足したりする。手間のかかる原始的なものでした」