テリー 結局、部隊には何年いたの?
やす子 2年間です。
テリー 辞めたのは芸人になろうと思ったから?
やす子 でも、部隊を辞めた時は、何も決めてなくて、突然降りてきたと言いますか、ふと辞めようと思いました。
テリー なんで思ったの?
やす子 自分でもわからないです。そんなこと人生で初めてでしたので。でも、ちょうど周りの方から認められ始めた時期で、「このままいったらいい感じになるかな」と。ちょっと波に乗っていた時でした。
テリー なるほど。そういう時にリセットしたくなることってあるもんな。
やす子 そうかもしれないです。それで東京に来て、官公庁などの清掃員を半年ぐらいやっていたんですけど、自衛隊時代から付き合いのあった千葉に住んでいる友達から「ちょっと漫才をしたい」と言われまして。それで芸人になることにしました。
テリー もともとお笑いは好きだったの?
やす子 いえ。実はテレビをほとんど見たことがなくて、芸人さんも爆笑問題さんとかダウンタウンさんぐらいしか知らなかったです。
テリー そうすると、普通は「芸人なんかできないよ」って断るじゃない。
やす子 はいー。でも、まったく何も考えずに「コンビを組むのはいいよ」と答えてしまいまして。それで、いろいろな事務所に履歴書を送ったら、その日のうちに連絡が来たのが、今所属しているソニー・ミュージック(アーティスツ)で。面接に行ったら、その日のうちに所属になりました。
テリー えっ、そんなことってある?
やす子 はいー。ソニー・ミュージックは芸人の墓場と言われてまして、他の事務所でちょっとやらかして、クビになった人とかが入ってくるんです。
テリー だって、バイきんぐとかハリウッドザコシショウとか、人気者もたくさん所属してるじゃない。
やす子 でも、その友達は欽ちゃんがいる浅井企画とかサンドウィッチマンさんがいるグレープカンパニーがよかったって言ってました。はいー。
テリー その時はどんなお笑いをやってたの?
やす子 友達はお笑いはやりたいけど、ネタが作れないということで、私が漫才を書いてました。
テリー ええっ? 爆笑問題とダウンタウンしか知らなくて漫才が書けたの?
やす子 はいー。おもしろいと思ったことを会話したらいいんじゃないかと思ったので。普通にしりとりを始めるんですけど、それがどんどん崩れていくとか、日常から少しズレていくような漫才を書いてました。
テリー へぇ~、すごいじゃん。でも今はピンだよね。それはどうして?
やす子 事務所が決まって1週間後ぐらいに、事務所のライブがあるから出ろって言われまして、ネタを作って練習してたんですけど、当日に相方が来なかったんです。
テリー ええっ!?
やす子 ライブの2日ぐらい前から「ちょっと体調が悪い」とか、連絡が取りづらくなって、嫌な予感はしてたんですけど。
テリー 予兆があったんだ。
やす子 はいー。だから来ない可能性もあると思って、しゃもじや卓球のラケットや、家にあるものをカバンに詰め込んで行きまして。「新人類」というコンビ名で登録してたんですけど、急きょ本名の「安井かのん」から「やす子」という名前にして、ライブに出ました。
テリー 出ないって選択肢はなかったの?
やす子 ほんとはもうその日のうちに芸人を辞めようと思ってたんですけど、それから1年半ぐらい、ずっと続けてる状態です。