5月30日、日本ダービーが東京競馬場で行われる。無敗の皐月賞馬エフフォーリアに注目が集まる中、週刊アサヒ芸能連載陣の水戸&片山氏に松中みなみ、キャプテン渡辺が加わり、出走馬を徹底分析。S(50P)、A(30P)、B(20P)、C(10P)の評価をもとにランキングした。はたして上位に輝く優駿は──。
【1位】エフフォーリア(180P)
松中★ 最大の魅力は好位からの立ち回りのうまさ。発馬も安定していて、レースごとに折り合い面も良化してきています。共同通信杯と皐月賞ともに正攻法のレースで快勝! まさに横綱相撲でした。この時戦ったメンバーとの勝負付けはついてるかな。
2400メートルの長丁場なので折り合いはまだ少し心配ではありますが、今回、積極策を取るバスラットレオンやタイトルホルダーがおり、ある程度流れる展開なら自分の競馬ができるのかなと。よほどの外枠を引かない限りは突き抜ける絵も浮かびます。最終的な全印は「サンスポZBAT!競馬・松中みなみの部屋」で発表します(S)。
片山○ 皐月賞の勝ち方を見ると中山が向いていたようにも思えるが、東京の共同通信杯も立派な内容でコース替わりも問題ない。4戦全勝にケチはつけられないがただ一つ、コントレイルに続き、2年連続で無敗の2冠馬誕生か、と思えるほどの大物感が感じられない。
とはいえ、その感覚は多分に私の思い込みだけかもしれず、勝たれてしまえば、まったく違う感覚に変わるのだろう。好位追走の安定走行で、大崩れは考えにくい(A)。
渡辺○ 先行できて上がりも優秀。死角らしい死角は見当たりませんがディープインパクトのようなお手上げの無双とも思えません。無敗馬が負けるシーンを思い描くのは穴党の性。雨が降って重馬場でノメるか、スタートで後手を踏むか。
最終決断は「ウイニング競馬」(テレビ東京)で発表しますが、それでも2着は外さないでしょうね(S)。
水戸▲ 血統的に距離が延びてさらによさそうなだけに「2冠達成」は容易と思われるが、皐月賞は前走比10キロ減の体重で出走。目に見えない部分で、その反動が出ないとも限らない。
恐らくプラス体重での出走と思われるが、10キロ減った体重がそのまま戻っているようだと、意外やレースで追ってから息持ちが悪くなる可能性もある。穴党としてはやはり、全幅の信頼は置きづらい(S)。
【2位】サトノレイナス(110P)
松中★ 桜花賞2着の時の末脚(32秒9)を見て「オークスで狙おう!」と決めていましたが、ダービーに向かうと聞いて、ニヤッとしてしまいました(笑)。
今や牝馬が強いのはトレンドで、牡馬より2キロ軽い斤量で走れるのはかなり有利。長い直線で最大の魅力である末脚を存分にみせてほしいです。ウオッカ(07年覇者)の再現があるかもしれませんね(A)。
片山▲ 牡馬クラシック未勝利の国枝調教師が牝馬でその夢をかなえにきた。負けた相手はソダシだけ。しかも最後の首の上げ下げで大魚を逃した結果で、持てる末脚は牡馬を見渡してもヒケを取るものはない。
国枝師としてはオークス、ダービーとルメール騎手を確保するにはこれしかないという策で、勝算はもちろんあるはず。距離延長でも引っ掛かる心配はなく大外から一気の強襲があっても不思議はない(A)。
水戸△ 名手ルメール騎手とのコンビで挑戦が決まるや評価はうなぎ登り。この中間もいたって順調で、牡馬一線級に伍しても見劣りしないとみられて当然だ。
直線の長い東京の芝2400メートルは格好の舞台で、身上の強烈な末脚を生かすには持ってこい。ただ、後方一気の戦法が牡馬相手に通用するかは微妙(A)。
渡辺(無印) 今年の牡馬は「レベルが低い」と読んでの参戦なんでしょう。しかもルメール騎手なので、牝馬といえども2、3番人気に支持されると思いますが、これまでの競馬からすると位置取りは後方。さすがに最後の直線でまとめて差し切れるとは思えません。セオリーとして嫌うべき馬だと思います(B)。
【3位】ステラヴェローチェ(90P)
片山★ サウジARCの時点でクラシックホースのニオイを嗅いでいたのが横山典騎手。仕上げ不足の共同通信杯の凡走で降ろされたのは気の毒だったが、馬はきちんと軌道に乗ってきた。前走後、最も順調にきているのがこの馬で、表舞台での活躍が足りていない吉田隼騎手としても、ここは人生の大勝負(A)。
松中★ 雨が味方しそうなのがパワーのあるこの馬。稍重の新馬戦を勝ったあと不良馬場で行われたサウジARCは3馬身差をつけて完勝しました。稍重の皐月賞も6番人気ながら3着に好走していますし、馬場が悪化すれば、あなどれない存在だと思います(B)。
水戸△ GI戦で常に上位争いしており、素直に力のほどを信用したい。やや決め手に甘いが、東京の芝2400メートルは歓迎。突き抜ける感じはしないが上位争いは十分。勝負勘が強い吉田隼騎手とのコンビも魅力で、アッと言わせるシーンもある(B)。
渡辺(無印) 朝日杯FSの2着馬で、皐月賞でも3着に好走しましたが、東京の高速馬場が向いているとは思えないんですよ。東京で行われた共同通信杯(5着)の負け方も気に入りませんし。あまりにも人気がなければ、おもしろそうかな~とは思いますけど(B)。
【3位】タイトルホルダー(90P)
渡辺◎ 過去5戦のうち4戦で連対していますが、1番人気に支持されたのは新馬戦だけ。好走しても人気にならないのは、逃げ脚質のため目標にされるからでしょう。ですが、先行して大崩れしないのは、地力があるからこそ!
今回はバスラットレオンが逃げて、2番手で追走すると思うんですが、その形なら好勝負に持ち込めるとみています。理想は白帽(1枠)か黒帽(2枠)。あとは、8番人気だった皐月賞ぐらいの人気薄になることを願っています(A)。
水戸○ 弥生賞ディープインパクト記念を勝ち、皐月賞2着馬なのに、そう大きく評価されていない印象。栗田調教師は「逃げなくてもいい。マイペースで運べれば」と話すが、実績馬が前々の競馬では常にマークされる。それでも上位争いを演じるところが能力の高さだ。今回も楽なペースで行ければ粘りも増す。距離が延びていい血統で、使われつつ心身ともたくましくなっており、怖い1頭(A)。
松中★ 皐月賞は抜群のスタートから2番手を追走。道中で先頭に立ち、2着に粘りましたが、印を打つかどうかは枠順しだい。もしバスラットレオンと競るようなら、なし崩しに脚を使わされますからね。レース直前まで悩まされるのかな~と思っています(B)。
片山△ 実績のわりに人気薄。おまけに今回もノーマークに近い形で主導権が握れる(C)。
【5位】グレートマジシャン(80P)
片山◎ メンバー中最低の収得賞金。それでも出走可能と読み切って18位でのゲートインを決めた。他の馬からのオファーもあった戸崎騎手だが、早い段階でこの馬に決めて吉報を待っていたわけで、それほどの器ということで間違いない。
過去3戦は全てルメール騎手が手綱を取って、1800メートルを続けて使った。注目すべきは走破時計。前走時より1秒9、2秒6と詰めた前走の毎日杯は、自身もレコード更新で駆けての2着。ルメールに「この馬もスーパーホースになれる器」と言わせた。馬っぷりでも世代を代表するすばらしさがあり、買うならまさにこの大一番(S)。
松中★ 阪神で行われた毎日杯は、レコード勝ちしたシャフリヤールと同タイムのクビ差2着でしたが、上がりタイム(34秒0)はメンバー最速を記録しました。
東京は新馬─特別戦を連勝している得意舞台で、言ってみればホームコース。ディープインパクト産駒ならではの末脚に期待が持てます。ただ、これまでの3戦は13頭、8頭、9頭立てでしたから、あとは初めての多頭数競馬を克服できるかどうかでしょう(A)。
【5位】ワンダフルタウン(80P)
渡辺▲ 和田騎手が競馬の魅力を語り、僕がアシスタントを務める「わだラジ」(netkeiba.com)で「ダービーは期待しています」と話していたのがこの馬。新馬戦から和田さんが騎乗しているお手馬で、5カ月の休み明けで挑んだ青葉賞は叩き台での勝利。上積みも十分あるでしょうし、お世辞抜きで、能力は高いと思います(A)。
片山△ 太めを叩く目的だった青葉賞が東京コース向きのしぶとさを存分に見せた好内容。反動が心配だったが、もくろみどおりに馬体の輪郭がシュッとしてきて立ち直りも早かった。菊花賞の有力候補とみていたが、この過程ならここでも上位進出があるかも(B)。
松中★ ダービーでイマイチ結果を残せてない青葉賞組ですが、馬なりで好位につけられる器用な脚と操縦性の高さはもっと評価されていいはず。青葉賞のゴール直前で盛り返すスタミナと根性も評価できます。5戦全て馬券圏内に好走していますし、新馬─未勝利戦では稍重馬場で2、1着。馬場が悪くなり、時計勝負でなければ、台頭してもおかしくない1頭です(B)。
水戸△ 青葉賞を勝ったあとは疲れも見せず順調で、蹄の不安も軽減した。長くいい脚を使うタイプで東京コース向き。一族にキングオブキングス(英2000ギニー)など活躍馬が多く、相手なりに走れる勝負強さが魅力の馬(C)。
【7位】アドマイヤハダル(50P)
水戸◎ 初めて一線級相手となった皐月賞4着は大きく評価したい。2着タイトルホルダーとはコンマ1秒差で、この経験は小さくない。この時に騎乗した名手ルメール騎手は、あっさりとサトノレイナスに鞍替えしたが、このことで力不足ととらえるのは間違いだ。
皐月賞時は、まだひ弱さが残っており、一見すると牝馬と見間違えるほど繊細な体つきだったが、それでもしなやかでバランスの取れた好馬体から素質、能力は一級品とニラんでいる。
近親に女傑スイープトウショウ(宝塚記念などGI3勝)がいる良血馬。レースセンスのよさも相まって大きく狙ってみたい(S)。
【8位】シャフリヤール(40P)
松中★ 毎日杯のレコード勝ちは衝撃的でしたね。今回はそこから2カ月間隔を空けた万全のローテーション。しかも新馬─共同通信杯で騎乗し、この馬のことを熟知している福永騎手に手綱が戻るのもプラス材料です。エフフォーリアを逆転できる候補の1頭とみています(A)
片山△ 馬体にスゴみが足りない気はするものの、2戦目の共同通信杯で勝ったエフフォーリアにコンマ4秒差。そして3戦目で重賞勝ちと、高素質に疑いを挟む余地はない(C)。
【8位】ヨーホーレイク(40P)
水戸★ ボレアス、カミノタサハラなど活躍している全兄姉は多いが、それ以上の器。見栄えのする馬体で素質は確か。ジャパンCに参戦した女傑トリプティク(全欧古牝馬女王)など一族に活躍馬が多い良血で、一発の可能性も(B)。
渡辺(無印) 前々走のきさらぎ賞(2着)で、いちばん強い競馬をしていたのがこの馬です。皐月賞の上がりタイム(36秒6)はメンバー最速を記録。5着に入ってダービーの優先出走権を滑り込みで手にしたあたりにツキを感じます。ただ、勝ち負けとなると、ちょっと厳しいですかね(B)。
【10位】バジオウ(20P)
渡辺△ プリンシパルSを勝って優先出走権を得ましたが、実はこの馬が大穴候補だとニラんでいます。これまでの6戦、唯一、馬券圏外に敗れた大寒桜賞(4着)は重馬場にやられました。東京では3戦とも連対していますし、新馬戦でフルゲート18頭の競馬も経験済み。ぜひ、ダービーで有利と言われる1枠1番を引いてほしいですね(B)
【10位】タイムトゥヘヴン(20P)
水戸★ 実績からマイラー色が濃いようにみられるが、血統(母系)から距離の問題はない。折り合いに難はなく、抑える競馬が板についてきたのもいい。強行軍だが疲れは見られず、たくましくもなっている。穴中の穴はこの馬だ(B)。
【10位】レッドジェネシス(20P)
水戸△ 陣営はここにきての急成長ぶりを強調しており、怖い存在。血統(母系)もクラシック級(B)
【10位】グラティアス(20P)
水戸△ 皐月賞6着は体にいくぶん余裕がありながらの好走。得意舞台での距離延長はプラス。抑えには、ぜひ(C)
片山△ 鞍上が松山というだけでも3着のところにマークしたくなる(C)
【14位】ヴィクティファルス(10P)
片山△ 中山の皐月賞は9着と完敗したが、東京なら上積みも(C)
昨年のダービーは「激走指数」ランキングの1位と2位で決まった。はたして今年も無敗のダービー馬が誕生するのか、大注目だ。
水戸正晴:サンケイスポーツ記者として47年目。週刊アサヒ芸能連載「絶対万券論」が大好評。
松中みなみ:タレント。競馬歴は11年目。「サンスポZBAT!競馬」で予想を公開。
キャプテン渡辺:ピン芸人。競馬歴は26年目。テレビ東京「ウイニング競馬」に出演。
片山良三:サンスポ時代は初代の武豊番として活躍。週刊アサヒ芸能連載「栗東ナマ情報」を担当。