今シーズンでの引退を発表した、松坂大輔(埼玉西武ライオンズ)。プロデビュー初戦となる対日本ハム戦の1回裏、選球眼に定評のある片岡篤史氏を豪快な空振り三振に切って落とし、よろけさせたシーンが印象的で、この映像が松坂の剛腕ぶりを示すうえで、よくテレビに繰り返し流れたものだ。
その片岡氏が、自身のYouTubeチャンネル〈片岡篤史チャンネル〉で、後に阪神タイガースに移籍し、自身が引退した2006年を振り返り、当時の岡田彰布監督のある言動に感謝の念を寄せる回を投稿した(10月24日付投稿回)。
片岡氏いわく、06年7月の対横浜ベイスターズ戦において、相手の打球を片岡氏が2度もエラーし、それがきっかけで2点を奪われた試合があったそうだ。
「『2対1』で5回終わって、大雨降ったの。そこでコールド負けしたの。そんな時ある…?そん時に、神のお告げだと。『もう辞めろ』と言われてると思って」と、相当ショックで、このまま引退しなけれいけないと思ったぐらいだったといいう。ところがその後、片岡氏に「もうしばらく(試合に出るの)キツイやろう。もうしばらく使わへんわ」と飄々とした様子の岡田監督。ベテランの域に差し掛かったがゆえか、次に取り返してやろうといった気概は生まれなかったことから、ホッとしたと振り返っている。
その年の阪神は優勝から離されており(結果はリーグ2位)、ある朝のスポーツ新聞に、“片岡落とせ”という内容の記事を見つけた。ところがそれに対して岡田監督は「いや、片岡落とすということは、優勝をあきらめるということや」とコメントしたのだとか。
「野球人生の最後を、こういうこと言っていただいたということで、岡田監督には恩義を感じるね」と感慨深く振り返った片岡氏。
岡田監督の心温まる話が拝聴でき、ホッコリできる秘話であった。
(ユーチューブライター・所ひで)