故・仰木彬監督と言えば、多くの選手に慕われる、人柄の監督との印象が強い。しかしながら、そんな仰木監督を、冷静で非情采配の人だったと語る元プロ野球選手がいた。オリックスに籍を置き、現役最終年の1994年に仰木監督のもとで活躍した、パンチ佐藤氏(以後、パンチ氏)である。
タレントで、社会人野球クラブチームの茨城ゴールデンゴールズに所属する女性野球選手・片岡安祐美がMCを務めるYouTubeチャンネル〈野球放送席〉の、9月12日投稿回に出演してのことだ。
片岡が「非情なところもあって、それでも仰木さんを慕う選手ってたくさんいらっしゃるイメージ…」と、どう選手にリカバリーしているのか疑問を口にすると、「みんな(を)使ってくれるからだよ。(中略)我々は使ってもらえたら好きな監督だよ」と、どんな選手にも仰木監督はチャンスを与えていたとパンチ氏。
しかし、一生懸命のミスは許しても、ボンヤリとしたミスには非情だったとも語っており、2008年北京五輪、準決勝の対韓国戦と3位決定戦の対アメリカ戦において、レフトを守るG.G.佐藤氏が2戦続けて失策絡みの失点…。それだけが理由ではないだろうが、メダルを逃す結果となった、故・星野仙一監督率いる野球日本代表を振り返り、「星野監督、(G.G.佐藤氏を)使ったじゃない?仰木監督は使わないよね…」と、一度失策した時点で、仰木監督なら次戦にはG.G.佐藤氏を起用しなかっただろうとパンチ氏は持論を口にした。つまり、どちらかと言えば非情派に思える星野監督のほうが温情派だったと振り返ったのだった。
前述の北京五輪では、メンタルに強い衝撃を受けたとも報じられたG.G.佐藤氏だが、挽回の機会を与えようと次戦に起用しなければどうなっていたか…。料理ではないが、温情と非情のさじ加減は、相当に難しいものなのかもしれない。
(ユーチューブライター・所ひで)