●ゲスト:赤井英和(あかい・ひでかず) 1959年、大阪府生まれ。12連続KOの日本記録を樹立(当時)するなど“浪速のロッキー”の愛称で人気を集める。引退後は芸能界へ転向、89年の半自伝的映画「どついたるねん」に主演し、多くの新人賞を受賞。7月10日より、監督も務める上西雄大とのW主演映画「ねばぎば 新世界」が、東京・新宿K’s cinemaほか全国で順次公開される。
プロボクサーから転向し、数々の映画やドラマに出演する俳優・赤井英和。最近は夫人がツイッターでつぶやく日常も話題に。そこで今回は、その夫人も乱入しての変則対談がスタート! 信じられない驚きのエピソード満載で、思わず天才テリーが映画製作に乗り出す!?
テリー 主演映画「ねばぎば新世界」がもうすぐ公開ですね。拝見しましたけど、アサ芸読者も好きそうなアクション映画で。
赤井 街でのケンカシーンなんかもありますし、物語としても気持ちがスカッと晴れるような作品になったと思います。
テリー また、映像もほんとに(大阪)新世界の空気感が出てるし、最初の飲み屋のシーンも、僕はお酒が飲めないんで、あんまりああいうところは行かないんですけど、関東の人間からすると「あぁ、こういう感じなのか」って雰囲気がよく出てますよね。
赤井 僕が新世界で映画を撮るのは30年ぶりで、「どついたるねん」「王手」に続いて3作目になります。
テリー そうですよね。あのへんで育ったんですか。
赤井 家からすぐ近くで、地元みたいなもんですね。今回、私が演じた村上勝太郎。通称、勝吉の実家は本物の私の実家ですし。
テリー え、そうなの。
赤井 はい。32年前に「どついたるねん」で演じた安達英志の実家も、私の実家を使って撮影しました。
テリー あ、そうなんだ。
赤井 それ以外も今回の映画で私が勤める串カツ屋は、高校のボクシング部の後輩の店で、もう45年の付き合いですし、そういう仲間や地元がたくさん映ってる作品で、うれしく思います。
テリー 例えば僕が地元の築地で撮影したら、うれしい反面、照れちゃうような気もしますけど、それは?
赤井 いや、それはあんまりなかったです。脚本を見ながら「このシーンはあそこで撮るんだな」「これはここだな」とイメージしながら、毎日非常に楽しく現場に行ってました。
テリー 赤井さんって豪快なイメージがありますけど、ちゃんと脚本とか読んで撮影に臨むんですか。
赤井 私、もともとあまり頭が良くなくて、セリフ覚えがまぁ悪いものですから、いつでも確認できるように、脚本やセリフをメモした紙を持ち歩いたりして、何度も何度も繰り返し読んでます。繰り返すことが暗記につながると思ってますので。ただ、この映画の脚本は、私自身本当に納得できるもので、ここ(口)ではなく、ここ(心)からセリフが出てきましたから、そんなに覚えるのに苦労はなかったです。
テリー それだけ勝吉という男と赤井さんが近いんでしょうね。また、すごいのが2020年「ニース国際映画祭」の外国映画部門最優秀作品賞(グランプリ)、2021WICA(ワールド・インディペンデント・シネマ・アワード)の外国映画部門で、W主演の上西雄大さんと最優秀主演男優賞を受賞ということで、海外でも評価が高くて。
赤井 ありがたいですね。国籍や肌や目の色が違っても、感じ取ってくれる人たちの心というのは、そう違うものではないんかなというふうに思いました。
テリー 赤井さんみたいな無骨な役者さんって、最近は日本でも少ないから、この映画をきっかけに海外からオファーがあるかもしれないですね。
赤井 いやいや、どうですかね。ありがたい話です。