7月スタートの夏ドラマが出そろった。今季は恋愛モノ、医療モノ、刑事モノの3ジャンルに大別される。この中で、まるで数字の振るわないのが、恋愛ドラマ。第2話で大きく数字を落としたのが、Sexy Zone・中島健人、小芝風花のダブル主演作「彼女はキレイだった」(フジテレビ系)だ。初回世帯平均視聴率が7.6%。第2話は0.6ポイントダウンの7.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)にダウン。
7月20日放送の第3話は7.1%と微増だが、第2話目でここまで下がると、2ケタ超えは至難の業となる。2015年に韓国・MBC演技大賞で10冠に輝いた超人気の韓流ドラマをリメイク。才色兼備の美少女からアラサー無職に落ちぶれたヒロイン(小芝)とイケメンエリートに変貌した幼なじみ(中島)が再会、すったもんだの恋模様を描いたコメディーだ。
「ドSのツンデレ男(中島)に振り回される小芝の振り切った演技は爆笑ものだし、キュンキュンする萌えポイント満載で、ハマる要素たっぷりなんですがね」(ネットライター)
数字が伸びないのはこれだけではない。特に後れを取ったのが、中川大志主演の「ボクの殺意が恋をした」(日本テレビ系)で、初回5.8%。第2話が6.0%で第3話は5.1%。第4話は東京五輪の影響もあったとみられ4.6%だ。とはいえ、新米殺し屋が復讐相手に恋をするというありえない設定が受け入れられなかったようである。
深田恭子が降板して比嘉愛未が主演する「推しの王子様」(フジ系)の初回は6.0%。第2話は5.0%である。二階堂ふみ主演の「プロミス・シンデレラ」(TBS系)の初回も7.9%(第2話は7.8%)と振るわず。もはや恋愛ドラマで大きく数字を伸ばすことは難しいのかもしれない。
「一昔前なら、厳しい現実に打ちのめされても、ドラマの世界に現実逃避できました。癒やされ、一時の夢を見ることができました。ところが、長く続くコロナ禍で、人々は疲弊しきっています。殺伐とした日常を生き抜くのに懸命で、ドラマで夢を見る余裕すらない。お気楽な世界が展開する非日常的な恋愛は絵空事すぎてついていけないのでは」(芸能ライター)
逆に鉄板の強さを見せるのが、刑事ドラマと医療ドラマ。今季初回でトップだったのが、天海祐希主演の「緊急取調室」(テレビ朝日系)で14.7%。一方、鈴木亮平主演の「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(TBS系)は初回が14.1%で、第2話は14.3%にアップ。2本の熾烈なトップ争いは間違いないとみられたが、その後の推移をみると「TOKYO MER」が優勢のようだ。続くのが、波瑠主演の「ナイト・ドクター」(フジ系)。初回13.4%で、第5話まで2ケタをキープしている。
唐沢寿明主演の「ボイスII 110緊急指令室」(日テレ系)の初回世帯平均視聴率は11.3%。佐々木蔵之介主演の「IP~サイバー捜査班」(テレ朝系)の初回は10.3%。東山紀之主演の「刑事7人-season7-」(テレ朝系)の初回は11.9%。戸田恵梨香・永野芽郁ダブル主演「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(日テレ系)の初回も11.3%といずれも2ケタを超えた。
「医療でも刑事でも描かれるのは、リアルな世界。犯罪や病気に真摯に取り組む人間たちのドラマがキモ。難病や瀕死の患者を助けてくれる医者、腐敗した政治家や極悪非道の犯罪者を一刀両断に成敗してくれる刑事の活躍は、見ていてスカッとする。溜飲が下がる。勇気がもらえること請け合いです。コロナ禍の自粛疲れを忘れさせてくれるには、勧善懲悪、1話完結、爽快さが味わえる刑事・医療ドラマで決まりでしょう」(テレビ誌記者)
日頃の憂さを吹っ飛ばすのは、スーパーリアルドラマなのかもしれない。
(塩勢知央)