去る7月20日は、1993年に32歳の若さで亡くなった元プロ野球選手・津田恒実さんの命日だった。津田さんは1981年にドラフト1位で広島に入団。82年のルーキーイヤーに11勝を挙げて新人賞に輝き、翌83年に最高勝率、89年に最優秀救援投手のタイトルを獲るなどして活躍した。「一球入魂」を座右の銘とした津田さんらしく、伸びのあるストレートでバッターに向かっていった強気の姿勢は今もなお記憶に新しいところだ。
その津田さんにとって「生涯最後の相手」は、現巨人で監督を務める原辰徳氏だった。91年4月14日、津田さんのストレートを原氏は弾き返し、タイムリーヒットとしたのだった。
そんな原氏と津田さんを巡り、元プロ野球選手の古田敦也氏のYouTubeチャンネル〈フルタの方程式【古田敦也 公式チャンネル】〉に、広島で捕手を務めた達川光男氏が出演し、バッテリーを組んだ津田さんに対しての原氏の「男気エピソード」が明かされたのだった。
津田さんの命日である7月20日付け投稿回〈五十嵐が覚えている古田の言葉&達川が語る「原監督の男気」【キャッチャーズバイブル】〉でのことだが、津田さんが捕手のサインに首を振ると「100%ストレートだった」と振り返る達川氏。ある原氏との対戦において、津田さんが首を振ると、原氏は「達川さん、次、真っすぐですね。行きます!」と言ってホームランを打ったのだそうだ。
達川氏が「原、何で(津田さんのクセを見抜いていたことを)言うたんや?」と訊ねたところ、「津田さんとは、いい戦いがしたいんで、次に来る球がわかって打ちたくないんです」と原氏は返したのだそうだ。「黙ってたら、ずっとホームラン打てたのに」と、達川氏は続け、その語り口から、スタジオの笑いを誘っていた。
とはいえ、達川氏からは、津田さんの投球のみならぬ真っすぐな心意気、原氏の現役時代の貴重な「男気エピソード」を拝聴できた実に見ごたえのある回であった。
(ユーチューブライター・所ひで)