所属事務所に後ろ足で砂かけて辞めようものなら、マトモな仕事にありつけない。これが芸能界の「暗黙の掟」だ。ところが、彼女には通用しなかった。仕事も男も意のままに、今も業界を生き抜いている。独立という「リスクを冒さないことこそ」が、ひかり女王様にとっては「最大のリスク」なようで‥‥。
ロココ調のドレスをまとい、身に着けたアクセサリーは美術品と見紛うほどの豪華さ。きらびやかな、いでたちの満島ひかり(35)が人々を見下ろしながら、
「これからスマホは、全てこの私が決める!」
と言い放つ。その語気にはワガママと茶目っ気が入り交じり、人々を呆然とさせるばかり──。
これは、9月から放送されている新CM、UQモバイルのワンシーン。満島が演じるのは、かなり女王様気取りの「UQUEEN」というキャラだ。芸能評論家の平田昇二氏が意表を突く起用について解説する。
「それまで、UQは深田恭子(38)を長女とする三姉妹キャラのCMを放送してきました。三姉妹シリーズは5年にも及ぶ長期契約だったためファンも多く、満島の新バージョンが定着するのか不安視されていたのです。しかし、蓋を開ければ満島の女王様はハマリ役で、特に『リスクを冒さないことこそ、最大のリスクだ!』の一言は耳に残るなんてものではない。今後、放送される別バージョンでも、新たな決めゼリフが用意されているのは間違いありません。どんな展開になっていくのか楽しみにしている視聴者が増えています」
CMのみならず繁華街などには「UQUEEN」のポスターがあふれ、さながらひかり女王様に街がジャックされたかのようだ。執事役の松田龍平(38)だけでなく、胸に「グサッ」ときている男性も多いはず。
これほど満島が大きく露出するのは久しぶりのこと。18年3月に所属事務所を辞めて独立してからというもの、地上波ドラマへの出演は皆無で、映画出演もわずか1本のみである。それだけに世間の耳目を集めたが、満島の収入面は大丈夫なのか、と勝手ながら不安にもなった。だが、広告代理店関係者は「その心配は無用だ」として、あとを引き取る。
「この間、満島には太いクライアントがついていますからね。UQ以外にも、キリンビールの『一番搾り』、キリンビバレッジの『生茶』など一流CMへの出演は続いており、契約料は1本3000万円前後と言われています。現在、フリーであることを考えると、ほぼ全額が自分の懐に入るわけで、あくせく働かなくても大丈夫なのでしょう」
どうやら事務所独立でも悠々自適で、干されているわけではないようだ。平田氏もこう指摘する。
「実際に、CMオファーは多いようです。それほど満島の演技力と表現力は高い評価を得ています。『生茶』のCMで、口にした時に驚いたように眉毛を動かす仕草しかり、『一番搾り』では口元を泡まみれにしての飲みっぷりを披露した。満島は制作陣の意図を汲み取り、想定していた以上の出来栄えに仕上げられる。CMクリエイターとしては使いたくなる女優です。ただ、本業のイメージに支障がないよう、ある程度、企業も選別しているのです」