秋になると頭痛に悩まされる人が多い。朝晩の寒暖差が大きく、台風シーズンの時期は「片頭痛」が考えられる。
この頭痛は、こめかみから目の辺りにかけて、ズキズキと脈打つように痛むのが特徴。吐き気を伴ったり、光や音に対して敏感になったりする。痛みは数時間から数日続き、症状によっては体を動かすことで痛みが増すため、日常生活に支障を来す場合もある。ちなみに、片頭痛といっても頭の片側だけが痛いとは限らない。
これは自律神経の働きが影響していると考えられる。自律神経は、呼吸・体温調節・消化などを無意識で行うほか、血管の拡張・収縮を調整する役割も担っているため、秋雨前線などの急激な気圧の変化によって、脳の血管が拡張。脳の血管まわりにある三叉神経が圧迫され痛みが生じるのだ。
頭痛を解消するには、ロキソニンやアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を飲むことが一般的だ。しかし、拡張した血管や神経には作用しないため、片頭痛に対しては十分な効果を発揮しない場合もある。特効薬としてはトリプタン系の薬があるが、痛みが始まってすぐ服用する必要があるためタイミングが難しい。
薬をすぐに服用できない場合は、ゆっくりとした深呼吸がオススメ。酸素を体内に十分に入れ、血管が狭くなることで症状が和らぐからだ。片頭痛の出口があると言われる首の真後ろを冷やすのも有効。
予防法としては、日頃からバランスのよい食事を心がけること。特に豚肉や大豆、うなぎ、たらこ、海苔など、ビタミンB1を豊富に含む食材を積極的に摂取したい。アルコールは控えたほうがよいだろう。
気候が不安定になる時期のため、睡眠のリズムも乱れがちになりやすい。日頃から適度な運動を心がけ、規則正しい生活によって快眠をとる工夫をすることも心がけたい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。