社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<高血圧>「高い数値が続くと脳卒中や心疾患が!」

「血圧」の数値に一喜一憂する人は少なくないだろう。実は、「高血圧」は日本人に最も多い症状。厚生労働省が3年ごとに行う「患者調査」の平成26年調査によると、高血圧症疾患の総患者数(継続的な治療を受けていると推定される)は、1010万8000人にも上る。

 心臓はポンプのように収縮・拡張を繰り返し、全身に血液を送り出している。その血液が動脈壁を内側から押す力を「血圧」といい、「上」「下」2つの値で示される。

 まず「上」とは、心臓が縮む際に送り出された血液で動脈壁が膨らんでいる時の最高血圧(収縮期血圧)。「下」とは、心臓が広がって動脈壁が元に戻った時の最低血圧(拡張期血圧)をいう。

「高血圧」の基準値は、これまで何度も変わっているが、現在用いられるのは、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」で定められたもの。診察室血圧(病院などで測ったもの)は「140/90mmHg以上」、家庭血圧は「135/85mmHg以上」で高血圧とされる。

 高血圧は数値によってI度(収縮期血圧140~159mmHgかつ/または90~99mmHg 以下同)、II度(160~179/100~109)、III度(180以上/110以上)の3区分に分けられる。

 さらに高血圧の怖いところは「サイレントキラー」と言われ、自覚症状がないことだ。一時的に高くなるのはさほど問題ではないが、注意が必要なのは、高い数値が長く持続する時だ。血管が張り詰めた状態に長く置かれると、しだいに血管は厚く硬くなり、しなやかさが失われ、動脈硬化を進行させてしまう。この動脈硬化は、やがて脳卒中や心疾患などの循環器病を引き起こしやすくなると考えられているのだ。血圧を下げるには生活習慣の改善が重要と言えよう。塩分のとりすぎや運動不足、ストレス、肥満、喫煙などは血圧を上昇させると考えられている。日頃からの予防を心がけるほかない。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<老人性乾皮症>高齢者の9割が該当 カサカサの皮膚は注意

    330777

    皮膚のかさつきを感じたり、かゆみや粉をふいた状態になったりすることはないだろうか。何かと乾燥しがちな冬ではあるが、これは気候のせいばかりではなく、加齢による皮膚の老化、「老人性乾皮症」である可能性を疑った方がいいかもしれない。加齢に伴い皮膚…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<中年太り>神経細胞のアンテナが縮むことが原因!?

    327330

    加齢に伴い気になるのが「中年太り(加齢性肥満)」。基礎代謝の低下で、体脂肪が蓄積されやすくなるのだ。高血圧や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に結びつく可能性も高くなるため注意が必要だ。最近、この中年太りのメカニズムを名古屋大学などの研究グル…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<巻き爪>乾燥による爪の変形で歩行困難になる恐れも

    326759

    爪は健康状態を示すバロメーターでもある。爪に横線が入っている、爪の表面の凹凸が目立つようになった─。特に乾燥した冬の時期は爪のトラブルに注意が必要だ。爪の約90%の成分はケラチン。これは細胞骨格を作るタンパク質だ。他には、10%の水分と脂質…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

注目キーワード

人気記事

1
中田英寿に挨拶したら「知らねえよ、お前のことなんて」とあしらわれたサッカー元日本代表の告白
2
中居正広スキャンダルで最も株を上げたコメンテーターは「アノ炎上学者」
3
大谷翔平のデコピン「本当の飼い主」は水原一平だったという複雑な事情
4
新社長が後押し…フジテレビは「NTTドコモの下請け」で「配信向けソフト制作会社」に切り替えの道
5
【超常現象ファイル】灼熱の地デスバレーで「ひとりで勝手に動く巨石」にGPS発信機を取り付けたら…