今週は中山で「京成杯」が行われる。皐月賞と同じ舞台だけに、クラシック戦線を占ううえでも重要な一戦となる。一方、京都の「日経新春杯」は、岩田騎手からルメール騎手に乗り替わるサトノノブレスが人気の中心。
この京成杯が2000メートルに距離変更されてから、ここで勝ち負けする馬は、以後のクラシック戦線での活躍を約束されているかのようである。皐月賞と同じコース、距離での競馬。舞台が一緒なのだから当然と言っていいだろう。
顔ぶれを見てみよう。エアアンセム、キングズオブザサン、ピオネロ、プレイアンドリアルなど2勝している馬は、いずれも評判になっている厩舎期待の好素質馬だ。当然ながら1勝馬の中にも前述有力馬にヒケを取らない能力の持ち主はいるだろう。しかし、同着にならないかぎり勝ち馬は1頭しかいない。そのウイナーをあぶり出すのが難しくも楽しいのだ。
競馬はギャンブルであり、的中すればそれに越したことはないが、一歩進めて推理ゲームと見るならば、先にあるクラシック(皐月賞、ダービー)を見据えて、さてどの馬がいばらの勝ち抜き戦を制して頂点に立つのかを見抜くのは、予想する者の醍醐味であろう。よって、クラシック戦線にあるレースの予想は、格別なのだ。
その意味で京成杯はファン必見の重賞だが、今回は前述したとおり、顔ぶれがそろった。ひょっとするとフルゲートになる可能性もあり、何とも難解だ。
朝日杯FSで期待されながら7着に敗れたプレイアンドリアルが出走してくる。周知のとおり地方競馬からの挑戦で、前々走の東スポ杯2歳Sでは中央の芝初見参ながら、好タイム決着にもかかわらずハナ差の惜敗と気を吐いた。能力の高さは推して知るべしだが、朝日杯FSはその反動だったのだろうか。しかし敗れたとはいえ、勝ち馬とはコンマ5秒差。外枠から強引に先団に取りついたことも影響したのだろう。
それだけの力量馬が当初の予定を繰り上げて臨んでくる。いったん北海道(ビッグレッドファーム真歌)に戻り、リフレッシュされての再登場。注目しないわけにはいくまい。
が、当方としては、他の馬に目をつけたい。といって前述した2勝クラスの馬ではない。当然ながら、これらの有力候補はいずれも将来性豊かな力量馬。勝ち負けになって何の不思議もないが、当方が最も期待を寄せたいのは、1勝馬。早くからここに照準を合わせていたラングレーだ。
1勝馬だけに抽選対象になるおそれもなくはないが、クラシックを意識するレースであるなら、この馬には何としても出走してもらいたい。それだけ高い能力の持ち主だからだ。
期待どおりデビュー戦を勝ち上がり、2戦目にいきなり重賞挑戦。さすがに厳しかったようで、見せ場を作るも4着が精いっぱいだった。それでもコンマ3秒差の競馬。力があることの証しである。
レース後は少々疲れが出たことからリフレッシュ放牧に出されたが、休んだのは短期間。牧場でもじっくり乗り込んで、昨暮れに帰厩。すでに栗東の坂路で3回追い切られて臨戦態勢を整えている。
「仕上がりはいい。見違えるようにたくましくもなっている」
とは、矢作調教師はじめ厩舎関係者が口をそろえるところだが、なるほど、均斉の取れた好馬体はホレボレするばかりだ。また血統もいい。曾祖母ミエスクはGI10勝の女傑で、近親にキングマンボ(GI3勝)、イーストオブザムーン(GI3勝)、ランプルスティルツキン(全欧牝馬チャンピオン)など活躍馬がズラリといる良血だからだ。
これだけの馬が何としてもクラシックの出走権を、と意気込んで挑んでくるのだ。期待しないわけにはいかないだろう。
◆アサヒ芸能1/14発売(1/23号)より