今週は明け3歳馬による重賞「京成杯」が中山で行われる。出走予定馬は10頭と少ないが、春クラシックへ向けて重要な戦いだけに目が離せない。一方、京都の「日経新春杯」も頭数は少ないが、馬券的には難解な一戦。
先週は3日間開催。1月5日の東西金杯で始まった今年の競馬は、すでに3週目。慌ただしく過ぎていくが、今週の中山のメイン・京成杯は、クラシックを見据えての重要な一戦と位置づけてよいだろう。
中山での芝2000メートル戦。舞台は皐月賞とまったく一緒だからである。ま、それでもその皐月賞まで3カ月余りあり、この寒い時期、若駒には無理をさせたくないとの各陣営の思惑もあって、すでに賞金を加算させて春のクラシックの出走権を手中にしている一線級は顔を見せない。
しかし、皐月賞と同じ舞台であるなら、指をくわえて見ているだけというのも理解しがたい。期待を寄せている素質馬なら条件馬、キャリアの浅い馬でも使う価値ありと挑んでくるケースが多くなってきている。
出走馬は馬柱どおり多くはない。が、顔ぶれは悪くない。各厩舎の期待馬、秘蔵っ子がそろっている。
ならば、やはりファン必見の重要な重賞として注目しないわけにはいかないだろう。
99年にそれまでのマイル戦から2000メートルに距離が延長、固定されたが、以後、勝ち馬からダービー馬(エイシンフラッシュ)が出ており、3着以内からもサンツェッペリン(皐月賞2着)、キングカメハメハ(ダービー馬)、ナカヤマフェスタ(宝塚記念)など、皐月賞、ダービーで上位争いを演じた馬も少なくない。ならば、そうした視点を持って勝ち馬検討に入ろうか。
距離が2000メートルになってからの過去17年間、1番人気は5勝、2着5回。2番人気は6勝、2着2回。また、馬単導入後のこれまでの13年間、馬単で万馬券になったのは3回(馬連は0回)。比較的順当に収まっていることがわかる。なら今回も人気、有力どころは、それだけチャンスが大きいということか。
その有力どころの中ではメートルダールが筆頭だろうか。前走の葉牡丹賞は、緩いペースの中、最後方に近い位置から直線一気の末脚で、好位からこれまた鋭い末脚で先に抜け出したヒプノティストを難なく差し切ってみせたのだ。わずかハナ差だったが、着差以上に強い内容。モノが違っていた。
これにウムブルフ、ケルフロイデ、そしてマイネルラフレシアが続くが、いずれも高い評価を受けている馬。やはり堅い決着となる公算が強そうだ。
が、これでは穴党にはおもしろくあるまい。まだキャリアの浅い明け3歳馬の争い。可能性に賭けてみる価値は十分にあるはずだ。
前置きが長くなったが、穴党である当欄としても前述した有力どころでない馬に目をつけてみた。
期待はそれ、マヤノピナクルだ。未勝利を勝ち上がったばかり。それも2着馬とはクビ差だった。が、これもメートルダールと同じ。余裕を持っての差し切り勝ちで、伸びしろを感じさせる好内容だった。
走破タイムの2分2秒3は、同日、同じ中山の2000メートルで争われたGIIホープフルS3着のバティスティーニと同タイムで、メートルダールのタイムをコンマ3秒も上回るもの。単純な比較はいけないかもしれないが、高い能力を持った馬であることは間違いあるまい。
中2週のローテーションも強調していい。明け3歳馬には厳しいように思われるが、暮れから正月にかけては変則日程(元日は全休日)で、寒い時期でもあり調整が難しい。間隔が開いているとレース当日、蓋を開ければ重め残りというケースがよくあるのだ。その点、中2週だと馬体が緩むということは少ない。
あか抜けた好馬体の持ち主で、血統がまたいい。近親、一族にあのディープインパクト、ウインクリューガー(NHKマイルC)、ナシュワン(GI英ダービー)がいる良血。晴雨にかかわらず“一発”があっていい。