詳細にキム・ヨナの演技を見ていくと、素人目にも明らかなミスがある。それは、FSの演技構成の11番目の技であるシングルアクセルだ。本来、キム・ヨナはダブルアクセルを跳ぼうとしていたが、失敗していた。
スポーツ紙記者が言う。
「フィギュアの技術点の採点は、まず技術審判3人が技の正確さをビデオ判定します。真央がトリプルアクセルで回転不足とされるのは、この技術審判3人中2人が回転不足と判定した場合なのです。そして、フィギュアの技一つ一つに基礎点が定められていて、技の出来映えを最大9人(韓国選手権は8人)の演技審判が判定し、基礎点にプラス3~マイナス3の7段階で加点、減点をして点数が決まるのです。そこで、今回のキム・ヨナのシングルアクセルですが、2人の演技審判がプラス1点の加点をしているのです。減点があってもおかしくないのに、1人も減点していません。確かに、キム・ヨナは回転数で失敗しても着氷でミスをしない技術を持っていますが、国際大会ではありえない判定です」
結果的にシングルアクセルでは、わずか0.05点の加点ということになるが、それだけ大甘な判定がまかり通っていたのだから、他の技においても少しずつ多めに加点されていたとしても不思議ではない。
「実際に、キム・ヨナはこの失敗ジャンプのあと、スケーティングが不安定になっていて、本来ならば演技構成点の演技のつなぎがもっと低くなってもおかしくないのに、9.44点も出ている。さらに、音楽の解釈という項目では失敗ジャンプに加点した2人の審判を含む3人が10点満点を出している。そもそも10点満点なんて、めったにお目にかかれない点数です。今季のGPシリーズでは1度も出ていません」(前出・スポーツ紙記者)
つまり、このキム・ヨナの高得点は盛りに盛りまくった点数だったのだ。
しかも、浅田がキム・ヨナに敗れた大会は、常に技術点の加点と演技構成点で大差をつけられている。いや、浅田が優勝した10年の世界選手権でも、SPで浅田はキム・ヨナに大差をつけていたからよかったものの、FSではキム・ヨナに敗れている。浅田はトリプルアクセルを完璧に跳んだにもかかわらず、五輪金メダル獲得直後で精彩を欠いたキム・ヨナに技術点の加点と演技構成点で大差をつけられたのだ。
折山氏はこう話す。
「技術点の減点に関しては明確な国際基準がありますが、今季のフィギュア界の高得点続出の状況を見れば、加点の基準には不可解な面もあります。さらに、演技構成点にいたっては、審判の主観で判定されている。スポーツなのだから審判の主観は必要ないはずなのですが、フィギュアは芸術表現でもあり、主観があって当然という反論があるのも事実です」