孤軍奮闘せねばならない浅田。しかも、相手はキム・ヨナだけではなく、審判や裏技まで駆使する韓国スケート連盟が背後に控えている。
あの細い体で、この大きな逆風をどうはねのけていけばいいのか。
渡部氏はこう話す。
「五輪前の最終戦でキム・ヨナが真央ちゃんよりも点数で勝っていたとしても、それはあまり意味はありません。荒川静香さんのように、事前に有力視されていなくても、金メダルを獲ることもあるわけですからね。まず言えるのは、大きなミスをしたほうが負けるということです。でも、ミスを恐れて、真央ちゃんがトリプルアクセルを跳ばないという選択をしてはいけない。キム・ヨナのトリプルルッツは一級品ですから、やはりキム・ヨナが跳べないトリプルアクセルを成功させることが鍵を握っていると思います」
そして、キム・ヨナにも弱点はある。冒頭にも記したが、「体力面」である。
折山氏が言う。
「韓国選手権のキム・ヨナのFSの演技は後半にミスが目立った。明らかにスタミナ不足に陥っています。もちろん、キム・ヨナが1カ月間でスタミナ不足を克服してくる可能性もある。それでも、真央にはバンクーバー後にスケーティングテクニックを見直してきた上積みがある。トリプルアクセルをSPとFS合わせて3回跳ぶプログラムを2回に減らしたとしても、その2回のトリプルアクセルで回転不足を取られずにきちんと跳べば、キム・ヨナに勝てる力が十分あると思っています」
ぜひとも、浅田の会心の演技でキム・ヨナの怪しげな高得点を吹き飛ばしてほしいものだ。