笑いをとるために、無理をして大勝負に出た芸人といえば、極楽とんぼの加藤浩次もスゴいエピソードで知られている。ピンマイクもつけてもらえない駆け出し時代、笑福亭鶴瓶に思い切ったことをやってのけたのだ。
「あれは、一世一代の勝負だったな。特番で、志村(けん)さんチームと鶴瓶さんチームに分かれて。俺らはゲームにも参加しない、ただのガヤ。で、最後に鶴瓶さんと志村さんがフリースロー対決で、ゴール決めたほうが勝ちみたいな感じの時、鶴瓶さんがボール投げる、緊張感ある時に、1個他のボールを取って、後頭部にバコーンって投げつけてやったんだよ」
“勝負”の行方が気になるだろう。
「一世一代の勝負よ。『これ、キレられて終わるかもしれないな』って。でも鶴瓶師匠だったらウケてくれるだろうっていう勝負でぶん投げて。そこから『お前ら、名前なんて言うんや?』って言われて、『お前ら、むちゃくちゃやな』って、この話をテレビとかでもしてくれるようになって」
と振り返っている。相方の山本圭壱も、
「『おい、誰や!』って最初は怒った。その代わり、鶴瓶師匠もちょっとおいしいなって思って、それから『来い、来い』みたいな」
と、懐かしんでいた。
ちなみに、元・雨上がり決死隊の宮迫博之も、鶴瓶の首にドロップキックをかましたことがある。
「終わった後に、『肩はエエけど、首はアカンやろ!』って怒られたことがある。『すみません、テンション上がり過ぎて』って言って、許してくれはったけど」
と振り返っていたのだった。
★坂下ブーラン(さかした・ぶーらん)=筆名=:1969年生まれのTVディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティ番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発をめざし奮闘中。