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国が看護や保育、介護などの現場で働く人へのお給料、つまり公的価格を引き上げると打ち出しました。ところが看護師については「新型コロナ医療などを担う看護師」に限り、来年2月から9月まで1%程度、引き上げ額は4000円だと。たった4000円ってバカにしすぎでしょう。
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岸田総理は自民党総裁選の際、自身が掲げた公約のひとつに「公的価格の抜本的見直し」を出していました。政府がサービスの対価を決めているものを公的価格といいますが、看護職や保育職、介護職に就いている人の給料がそれにあたります。公約通りに施策を打ち出してきたなと思いきや、国民からは「あまりにも金額がショボい」という怒りの声が噴出しています。ちょっといい中華料理屋でラーメンと餃子、生ビールを3杯くらい飲んだら終わっちゃう金額ですよ。1カ月の交通費にも満たない、ホント、「子供の小遣いかよ」というレベルです。知人の看護師に聞いたところ、
「看護職の賃金は、職責や職務に見合った水準にありません。夜勤手当などがつけばいいお給料に見えなくもないですが、勤務条件が過酷であるにもかかわらず、あまりにも割に合わない。就業者が最も多い40代以降は管理的立場になるので、夜勤手当も減ります。そうなると一般企業と違って、年齢を重ねるごとにお給料が減っていくわけですよね」
つまり、管理的立場にある看護職が適切に処遇されていないのも一面であると。こうした陳情はもう何十年と国に上がっていますが、それを阻み続けているのが財務省。役人の言い分は次のようなものです。
「何においても予算を出す際は、財務省が大盤振る舞いをしないと実行されないのですが、看護師の予算を増やす分、他の予算で何を削るのか計算しないといけません。一般企業のように『今期は景気が悪いから下げさせてもらいました』『キミの給料は査定によって5%下げますよ』などと、臨機応変にはできない。一度上げたら上げっぱなしで、どこかの予算を削った場合は敵を作るわけで、だから慎重になるんです」
これが本音ですが、国民とすれば「敵ってナニ!?」です。政府や官僚はどこを向いて働いているのか。
国のムダはどんどん省いていくべきです。18歳以下の子供を対象にした10万円給付もそう。5万円分のクーポン券配布に967億円というフザけた経費、この壮大なムダ使いにも国民は怒りの大合唱です。キャッシュレスにして予算をかけない、配るなら10万円全て現金でいいだろう‥‥いろんな意見がありますが、ここに「敵=業者」の影が見え隠れしていることを、国民はわかっています。
今回は「新型コロナ医療などを担う看護師限定」ながら、看護師は段階を踏んで上げ、保育職、介護職に至っては来年2月から9000円値上げする、と公言。そうやって公的価格を少しずつ上げていく。そして、忖度を受けている「敵」は知らず知らずに仕事を減らされていく。そうして労働が正当に評価され、それに見合う賃金を誰もが受け取れる時代が近々来るよう、僕も働きかけます。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ)◆1981年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、日本生命などを経て12年に衆院議員に(京都3区)。16年に議員辞職後は、経営コンサルタント、テレビコメンテイターなどで活動。近著に「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)。