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新政権の誕生で最も気になること‥‥それは、岸田総理で私たちの生活はよくなるのか、です。彼は総裁選前の演説で「年内に数十兆円規模の経済対策を策定する」と何度も力説していました。が、これはそもそも庶民にお金が分配されるような対策なのでしょうか。私のような低所得者には関係ない話になる、というのはもう耐えられません。きちんと庶民に還元されるのか、重大なことです。
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メディアを通じて岸田さんは「数十兆円規模の経済対策をする」と、確かに主張しました。その中身についてはあまり明確ではないようですが、コロナ関連の規制策と、それに伴う補償予算のことを打ち出しつつ、「金融所得課税の見直しを検討する」とも公言しています。具体的には、一律20%の税率を引き上げて税収を増やし、中間層や低所得者に配分するということ。それを「新しい資本主義として、その実現会議」を新設すると示しました。
経済対策の中で僕が注目したのは「公定価格の引き上げ」への姿勢です。岸田さんは明確に「公定価格の見直しをやる」と断言。その言葉を借りれば、
「従来から、働きに比べて給与が少ないと言われている人の公定価格は、国が率先して適正に引き上げることを考えたらどうか。それが民間給与の引き上げの呼び水となって、広がるのではないか」
ということ。つまり看護師や保育士、介護士など、国が直接お金を支払っている職業の人たちの給料を上げることで民間企業へ圧力をかけ、「国が上げたんだから自分たちも上げないといけないよね」という流れを想定していると考えます。
次に現役世代、中間層にお金を回す施策も打ち出しています。現役というのは、子育て世代です。子育てするのに最も必要な住宅費や教育費を軽くします、と。そこで格差是正を図ることが目的です。
日本はもともと、みんな中間層という発想があり、それが経済発展の底上げになった時代があったので、この政策は国民性に合っているのではないでしょうか。格差社会になりつつある現状にテコ入れし、ぜひとも庶民の経済発展へと乗り上げてほしいです。
今回、岸田内閣には新しい閣僚が13人も入りましたが、顔ぶれが新鮮です。これまでの政権と大きく違って、大臣経験のない議員が多い、という点ではなんとなく親近感が湧きます。そんな岸田さんに、早くも海外メディアは大批判を展開していますが、まだ何もやってない段階で批判するのもどうなんでしょう。僕が議員時代に接した岸田さんは庶民の目線を持っている人でしたので、これまでの政権よりも中身は庶民に嬉しい要素が強いかもしれませんよ。
余談ですが、東大に3回落ちたという苦労話について、東大出身で元財務官僚の弁護士・山口真由さんが「東大に3回落ちるなんて、よっぽど受験が好きなんだな、って思いました。だって、ちょっと勉強したら受かっちゃうじゃない」とコメントして炎上しましたが、少なくとも岸田さんはそうした発言をする人ではないので信用できます。
さぁ、あとは年内に即時、経済対策を還元できるかどうか。近々、議員会館に行って調査してきます。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ)◆1981年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、日本生命などを経て12年に衆院議員に(京都3区)。16年に議員辞職後は、経営コンサルタント、テレビコメンテイターなどで活動。近著に「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)。