「声がかすれやすい」「声枯れが続く」などの異変があれば、声帯や咽頭に異常が起きたサインだ。
大声の出しすぎによるのどの酷使や、アレルギー反応、喫煙、飲酒などでも「声枯れ」は起こる。加えて、60代以上くらいになると、加齢が原因で「声帯萎縮」が起こることもある。10日間以上続いたら、耳鼻咽喉科で受診をしたほうがいい。
検査は、触診や問診に加えて、喉頭ファイバースコープでの内視鏡検査や超音波エコー検査などが行われる。
風邪などのウイルスや細菌に感染したことで起こる「急性咽頭炎」の場合は、ステロイド薬や抗炎症薬、ネブライザーが処方される。もし声帯ポリープが見つかった場合は、これらの薬に加えて「沈黙療法」の「数週間声を出さないこと」や「発声の方法」を指導される。
心配なのは、これ以外の病気が隠れている場合だ。声帯を動かす筋肉をコントロールする「反回神経」が麻痺する「声帯麻痺」を発症していたら、肺ガンや大動脈瘤、脳卒中、神経疾患などが原因の可能性も考えられる。
治療は、声帯のコラーゲン注入や、のど仏に穴をあけてシリコンを注入する手術などが行われるが、残念ながら一度失った神経の修復はなかなか難しい。
「声枯れ」で最も注意が必要なのは、「喉頭ガン」だ。これは60歳以上の男性に多いと言われる。主な原因は長期にわたる喫煙や飲酒で、発症者の大多数は喫煙者というデータもある。喉頭ガンは早期発見の場合、放射線療法による発声機能を温存した治療が可能となるが、進行している場合には喉頭全摘出手術となる。
隠れた病気の早期発見のためにも「声枯れ」が続いたら耳鼻咽喉科を受診することが必要だ。声が枯れやすい人は、アルコールや喫煙をできるだけ控え、のどの酷使にも注意しよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。