肝臓に脂肪がたまり、フォアグラ状態と化す「脂肪肝」。実に日本人の3人に1人がなると言われているが、酒をほとんど飲まなくても、太っていない人でも、指摘されることが多い。
放置すれば肝硬変や肝臓ガンに進行する可能性があり、さまざまな生活習慣病のリスクを高めることから、注意が必要だ。
とかくアルコールとの関連ばかりが取りざたされる脂肪肝だが、実際には「糖質の過剰摂取」が一番の原因。体脂肪を増やさないよう、揚げ物や肉類を控えている人が、パンや麺類などの炭水化物を摂っていたり、甘いモノを食べすぎていたりすることで、脂肪肝になる場合もある。
また、酒に酔いやすい体質の人は、飲酒をしなくても「脂肪肝」になるリスクが高いことも、熊本大学の研究で明らかになっている。
特に日本人の場合、アルコールが肝臓でアセトアルデヒドに変換される時に、それを無害化する酵素(ADLH2)の活性が低い人が約4割、まったく活性がない人が約1割もいる。アルコールをあまり飲まない分、飲酒が原因の「アルコール性脂肪肝」にはなりにくいが、「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)」の発症リスクは約2倍も高いと言われるのはそのためだ。
脂肪肝の初期には自覚症状がほとんどないが、血液がドロドロになり、全身の細胞に酸素や栄養分が十分に補給されなくなるため、疲れやすい、肩が凝る、ボーッとするなどの症状が出る場合もある。
脂肪肝に特効薬はないので、生活習慣の見直しが必要。バランスのとれた食事はもちろんだが、定期的な運動も有効だ。筑波大学の研究では、ウォーキングなどの運動を1日30分以上続けると改善すると発表されている。また、緑茶を飲むとLDLコレステロールの血中濃度が低下するため、積極的に取り入れることをオススメする。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。