大手チェーンのマルハンが年末、13年4月1日~9月30日までの中間決算をホームページ上で公表して、パチンコ業界に激震が走りました。
ボクがビジネス新書「パチンコホールは本当に儲かって仕方がないのか?」(ワニブックス刊)で、ホールがムダな広告費やダメな新台入替に大金を投じて、お客さんへの出玉還元を忘れたことで、「勝ちづらい最近のパチンコへの客離れに拍車をかけた」ことを洗いざらい警告したのですが、本に書いたとおり、いち早くマルハングループが新台入替費用を140億円削減。各メーカーに「以前のようには新台を多く買えない」と挨拶回りをして、一部ライターの悪ふざけや居酒屋トークを流していたネット配信も廃止。全国ネットのパチンコ番組「今夜もドル箱」のスポンサーを降りたのは、パチンコファンならよくご存じのことと思います。
そして、1パチなど低貸玉営業を増やして、地方の地元ユーザー向けのホールCM程度で抑え、大手広告代理店との契約も縮小して経費のムダづかいを極力節約した結果、なんと、売上高は1兆673億4500万円になっています。前年同期より0.5%減少してはいますが、経営利益は305億1300万円と71.7%も増益、中間純利益は98.1%と、ほぼ倍増。右肩上がりの急カーブで上昇しています。
一足先に低貸玉営業で業績を伸ばしていたライバルのダイナムジャパンホールディングスのここ数年の増益とともに、ホール経営の基本が見直されています。
この大手2大チェーンの増益に全国の中小ホールも追随すると思われ、今年は一気に新台入替の台数の見直しや、イベントや広告費用の節約に拍車がかかるのは間違いありません。2014年は「本当にパチンコメーカーは儲かって仕方がないのか?」と、1人勝ちのメーカーありきのパチンコのパワーバランスが大きく揺るぎかねない1年になりそうです。
年末年始に大量導入した新台が大コケして、深刻なダメージを負ったホールの新台買い控えで、メーカーの売り上げは去年の約250万台を大幅に下回るのではないでしょうか。
また、ズバ抜けた20万台以上のヒット台に偏ったり、ダメな新台、いわゆる稼働&客滞率といった「お客さんの座っている時間の少ない新台」を多く売ったメーカーの次回作や、「抱き合わせの二軍の新台」も極端に売れなくなる可能性は色濃くなるでしょう。メーカーにとっては、「パチンコバブル時代」のようには台が売れない時代になりそうです。
◆プロフィール 谷村ひとし 1953年生まれ。95年、みずからの立ち回りを描いた「パチンコドンキホーテ」(週刊モーニング)で大ブレーク。過去20年間のパチンコ収支はプラス6200万円突破。累計で20万人以上を擁する携帯サイトで毎日情報を配信中。詳しくは「谷村パチンコランド」で今すぐ検索!
*この連載に記載されたメーカーごとの大当たりしやすい回転数や独自の攻略法はメーカー発表の内容ではなく、あくまで谷村ひとし氏の経験則であり、データ収集に基づいた私見です。