次から次に炸裂する「秘密兵器」。キャンプイン初日には、大型三輪バイク「GORDON GL1800 トライク Type3 フルコンプリート」を駆ってド派手に登場した。
「三輪バイクの値段はなんと約1000万円。新庄監督は1500万円に値が上がる『TypeL』を購入予定で、試乗を兼ねてレンタルしているそうです。基本的にはレンタルのみの扱いはありません。バイクがある前橋の会社から沖縄までの運搬費7万円強+諸費用も自腹で負担しているようです」(スポーツライター)
この三輪バイクでBIG組の名護とBOSS組の国頭を約40分かけて往来。その合間、囲み取材に応じてみせた際には、
「オーシャンビューを背景にした場所で待ち構えて、アロハポーズまで決めてくれるサービスぶりでした。ほとんどの球団がパソコンによるリモート取材を余儀なくされる状況下で、直接取材できる環境など、よそよりはるかに自由度が高い」(民放局ディレクター)
しかし、万事問題がないわけではない。先の球界関係者がため息交じりに語る。
「なぜかスルーされていますが、どの球団でもキャンプ中の運転は選手も含めて禁止事項です。事故に巻き込まれたらたまりませんからね。それも三輪バイクでのノーヘル運転が違法ではないとはいえ、交通量の多い国道58号を目立ちながら往復している。とにかく無事を祈るだけです」
とかく心配事は尽きないが、独特の発想から導き出された試みには、目を見張るものがある。キャンプ初日には、青と赤に塗色されたベースを用いた走塁練習を実施。監督自らタッチアップなどの走塁論を熱っぽく指導していた。野球評論家の伊原春樹氏が解説する。
「一番の目的はベースターンで小さく回る意識を植え付けるためでしょう。ベースの踏み方ひとつでベースランニングのタイムは大きく変わります。互いにコーチ、選手として過ごした阪神時代には、守備走塁のミーティングを何度も重ねたもんです。この時の指導が少しは生きているのかな」
走塁意識を高めつつ、脚力アップにも余念はない。キャンプ前から8人の臨時コーチ投入を予告していたが、まずは陸上十種競技元日本王者の武井壮(48)を招き、シナジー効果を狙ったのだ。
「昔から、球界OBでない他競技のトップ選手に指導を仰ぐケースはままありました。西武の監督が東尾修だった01年には、陸上400メートルで日本記録を作った高野進氏を臨時コーチに招へい。効果テキメンで、その年はリーグ1位の盗塁数を記録できました。今回も基礎能力の底上げを期待しているのでしょう」(伊原氏)
わずか2日間の指導で、ほとんどの選手が20メートル走のタイムを0.1秒更新。今の意識のままシーズンに入れば、内野安打と盗塁数の激増も間違いないか。