元巨人の選手でヤクルト、西武をリーグ優勝、さらには日本一に導いた名将・広岡達朗氏と言えば、歯に衣着せぬ辛辣な発言も時折取り沙汰されることでも知られる。記憶に新しいものでは,、2020年9月11日、通算1067勝を挙げ、巨人軍監督として故・川上哲治元監督を上回り球団歴代1位となった原辰徳監督について、巨人は金銭で補強が可能なことから、「弱いチームで勝てなければ名将ではない」と厳しく批判している。
そんな広岡監督のもと西武ライオンズでもプレーした元プロ野球選手・杉本正氏が、主に広島で活躍した高橋慶彦氏のYouTubeチャンネル〈よしひこチャンネル〉の、2月1日付け投稿回に出演。ある契約更改にまつわるエピソードを明かしたところ、広岡監督の選手を思う人柄も披露された。
1982年の杉本氏はオールスターゲームに初出場。前年に続き7勝をあげる活躍を見せた。そのシーズンオフ、契約更改に際し、事前に広岡氏から、“これこれ、こういう金額じゃない限りサインするな。印鑑は持って行くなって…”といった注意を受けていたと言う杉本氏。しかし、契約更改の場に現れた、当時西武の坂井保之代表からこう念を押された「ここに来たということは、印鑑をちゃんと持って来てるんだろうな」
持参していないことを告げると、「“下の売店で買って来い!”って…」(杉本氏)と、指示されたのだそうだ。
提示された金額は、前年の年俸660万円が、1100万円に上昇していた。そこで、“結果オーライ”と喜んでサインした杉本氏だった。が、広岡監督から、こう言われたとか。
「何でサインしたんだ1回目に!言ったろ。お前はもっともらえるはずだ!」
厳しい口調だが、“杉本氏を評価する発言”をされたわけである。杉本氏いわく、ユニフォームを着てグラウンドに立っている時とは違う…といった広岡監督の人柄がにじみ出ている話と言えよう。選手には成績を残して稼いでほしいのが本心なのだろうと思わせる見ごたえのある回だった。
(ユーチューブライター・所ひで)