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何年も前のことですが、ネット掲示板「2ちゃんねる」に誹謗中傷を書き込まれました。当時はまだネット被害への意識が低く、みんな書き放題。自分はある女性から恨みを買って(仕事上の逆恨みでした)あることないことを書かれましたが、「2ちゃんねる」は消してくれませんでした。今もまだ書き込みは残っています。ネット中傷に関する侮辱罪、刑事罰の厳罰化が目前に迫り、今こそどうにかなりますか。
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インターネット上での誹謗中傷は大きな社会問題となっていますよね。
今回の件、書き込まれた内容はとてもプライベートなものだったとのこと。個人名を出され、「女性をとっかえひっかえ節操がない(もっとえげつない言葉で)」「女からお金をもらって生活している」「顔を整形している」「性格が悪い」、しまいには「家族に娘さんいますよね」と、暗に脅す一文まであったそうです。これはれっきとした誹謗中傷、名誉毀損案件でしょう。
ところが警察に相談したところ、
「まあ、よくあることですから、気にしないことです。気にするだけ損」
と、まるで他人事のようなあしらいだったのだと。いわゆる「事件にならないと動かない」警察事情です。当時の「2ちゃんねる」管理人に削除依頼をしても受け入れられず、いまだ残っているのも大きな問題です。
そこで、専門家たる弁護士に聞いてみたところ、次のような答えが返ってきました。
「名誉毀損やプライバシーの侵害、侮辱に該当する書き込みがあった場合には、そのサイトに削除請求が可能です。ご相談者様のケースでも、個人を特定した上でそのような表現がなされているのであれば、削除される可能性は高いかもしれません。方法としては、裁判所の手続を利用する、掲示板運営者に直接連絡する、という方法があり得ますが、やはり弁護士に依頼するのが望ましいと考えます。それには少なくとも、弁護士費用が10万円程度はかかってしまいますが、確実に狙い撃ちをするなら、専門家に相談してみてください。ただし、刑事事件にするには、名誉毀損罪の時効は3年、侮辱罪の時効は1年ですので、それ以上前の書き込みについては、刑事事件とすることはできません」
今年3月には、侮辱罪の厳罰化が閣議決定されました。プロレスラーの木村花さんがネットで誹謗中傷を受けて自死に至ってしまったことが契機です。最近では中日ドラゴンズの福敬登投手が、自身に対してSNS上で誹謗中傷を行う投稿者を特定し、その投稿者が侮辱罪で書類送検されたというニュースもありました。あるいは歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが、ツイッターやインスタグラムなどで、SNSなどで自身に向けられた誹謗中傷に対し、法的手段を考えているとの姿勢を見せています。
有名人以外でも中学生、小学生、一般社会人でもネットに書き込まれて悩んでいる人は多いと思います。とりわけ子供たちがそれで悩むのはかわいそうです。さらに厳罰化して、誹謗中傷がなくなる方向へと世の中の意識が変化していくことを切望します。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ)◆1981年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、日本生命などを経て12年に衆院議員に(京都3区)。16年に議員辞職後は、経営コンサルタント、テレビコメンテイターなどで活動。近著に「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)。