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田舎に住む高齢の父親が市役所の窓口で印鑑証明を出してもらおうとしたら、印鑑証明カードが必要だと言われて家に取りに戻ったと憤慨していました。マイナンバーカードは持っていたそうです。いったい何のためのカードなのか。使いものにならない現実に、大いに疑問を感じます。
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実は僕にも全く同じ経験があります。区役所で印鑑証明書を出してもらおうとした際、やはり印鑑証明カードが必要だと言われ、そんなもの持っていたかなと思いながら、焦ってカバンの中を漁った。
次にコンビニで印鑑証明書を取ってみたところ「マイナンバーカードがあれば、印鑑証明カードは必要ありません」と言われた。
これでわかる通り、役所はコンビニよりもガラパゴスなんです。おかしいと思うのは当然でしょう。
そんな折、デジタル担当大臣の牧島かれん議員にたまたま出くわしたので聞いてみたところ、まずは書面で次のような回答がありました。そのまま掲載すると、
〈地方公共団体情報システムの標準化に関する法律が成立し、標準化基準に適合した情報システムの利用が義務化されました。「デジタル社会の実現に向けた重点計画」においては、標準化対象の17の業務(住民基本台帳や固定資産税、国民健康保険など)に戸籍、戸籍の附票及び印鑑登録事務の追加を検討することになりました〉
うーむ、ちょっと難解です。そこで牧島議員は、続けて補足してくれました。
「これらは簡素化するため令和3年度に内容を作成して、令和5年度から本格化します。少し時間がかかりますが、手間を省く方向で動いていますよ」
つまり、こういうことです。国のデジタル化は少しずつ改善しようとしているものの、現時点では現場では何も進んでいない。
そもそもマイナンバーカードは今、どうなっているのでしょうか。位置付けとしては「公的個人認証サービス」という電子証明書が搭載されていて、このカードがあれば本人はインターネット等から安全に様々な行政手続きを行えるようになっていると、鳴り物入りで始まりました。この公的個人認証でしか受けられない「便利なサービス」があるはずなのに、行政手続きは煩雑なままだとは、噴飯モノです。
今回の相談に戻りますと、印鑑証明登録は会社の登記や不動産、契約関係で必要なものですが、今後はマイナンバーカードさえあれば、印鑑証明などいらないのではと思います。役所の長や市長にも聞いてみましたが「改革して進めていきます、という若手公務員は少ないんですよねぇ」という答え。えっ、これをなぜ部下のせいにする!?
結論ですが、そうはいっても、マイナンバーカードの未来は明るい方向に進んでいると思われます。徐々にでも便利に変わっていくでしょうから、ぜひカードを作成してみて下さい。今後はあらゆる行政サービスに紐づいていくでしょう。ただし、当面は役所ではなくコンビニ利用で(苦笑)。
みなさんも事務手続きで大変だった経験、ありませんか。ぜひこの連載に不満を送ってみて下さい。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ)◆1981年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、日本生命などを経て12年に衆院議員に(京都3区)。16年に議員辞職後は、経営コンサルタント、テレビコメンテイターなどで活動。近著に「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)。