金田正一氏、村山実氏、堀内恒夫氏、江夏豊氏など、数々のレジェンド投手が受賞してきた「沢村栄治賞」は、“1981年まで”と“82年から”では選考方法が異なっている。“81年まで”は新聞記者の投票により決まっていたが、“82年から”はプロ野球OBを中心に選考されてきた。では、なぜ選考基準を変更する必要に迫られたのだろうか。
実は、その原因は元巨人の槙原寛己氏のYouTubeチャンネル「ミスターパーフェクト槙原」の3月31日付け投稿動画に出演した、江川卓氏が絡んでいたという。
江川氏は80年に16勝で最多勝をとったが、この年の沢村賞は該当者ナシ。翌81年は20勝をあげて2年連続の最多勝。さらに最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率、最多完封の投手5冠王に輝いたが、沢村賞に輝いたのは同じく巨人の西本聖氏だった。しかし、この年の西本氏の成績は、18勝、「2.58」の防御率など素晴らしいものではあったが、どれも江川氏を上回るものではなく、「空白の1日事件」など、江川氏の印象の悪さが新聞記者の投票に露呈した結果になってしまった。
動画では江川氏が当時を振り返り、「かわいそうだったのは西本よ。『卓ちゃん、申し訳ない』って」と、当時、西本氏が詫びを入れにきたことを告白。もっとも、西本氏になんら非はなく、「俺は、正しいのは、(投票を)2人に入れるべきだって言ってるわけよ。西本がとるなら、オレがとらないとおかしいって。その年だけ2人にしたらいいじゃん」と、沢村賞W受賞にすべきだったと、今も思っていることを明かした。
こうした騒動で、翌年からは過去の受賞者が投票することになった沢村賞。江川氏は「今くれてもいい」と一見、冗談めかして語っていたが、本心なのかもしれない。
(ユーチューブライター・所ひで)